どん底味わった佐藤幸椰が2季ぶり地元本戦へ「ビッグステップ踏めるように」【ジャンプ男子W杯札幌大会】
予選ラウンド突破を決めた佐藤幸の飛躍=撮影・中島聡一朗
■ノルディックスキー・ジャンプW杯札幌大会(2月14日、札幌・大倉山ジャンプ競技場、ヒルサイズ137メートル)
▽予選
上位50人の本戦出場枠を懸け、日本勢は開催国枠を含めて10人が出場した。札幌出身で2022年北京五輪に出場した佐藤幸椰(29、雪印メグミルク)は、127メートルで日本勢5番手の17位で予選を通過した。今季は2季連続でW杯遠征メンバーから外れていたが、コンチネンタル杯で結果を残し、W杯組へ昇格してきた。今月のドイツ・ビリンゲン大会では今季自己最高の19位に入り、12ポイントを獲得。世界選手権出場圏内の日本勢4番手に順位を上げた。2季ぶりに出場する地元W杯ではさらにポイントを積み上げ、世界選手権の切符をつかみ、来年のミラノ・コルティナ五輪へ弾みをつける。
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練習で精細欠くも本番でK点越え
もう一度、世界の頂点へ―。佐藤幸が記録したW杯2勝のうち、最後に優勝したのは20年札幌大会のことだ。この日の予選前のトレーニングは1回目に111メートル、2回目は101.5メートルと少し精彩を欠いていたが、予選では1.29メートルの向かい風をつかむとK点を越える飛躍。「1本目と2本目のトレーニングから考えると、なんぼか明日につながる内容だった。なかなか難しい風も吹いてますし、良い条件を引けるかっていう大倉山らしいコンディションになってますけど、きょうの予選をもう一度精査して、明日、2本ビッグジャンプにつなげられるように、もう一度準備したい」。いつもの淡々とした話しぶりは変わらないが、自然と力がこもった。
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W杯組からの落選
どん底を味わった。22年北京五輪に初出場して今後の活躍を期待されたが、23-24シーズンはW杯遠征メンバーから落選した。国内大会では勝つことができても、世界の壁にはね返され続けてきた。24年2月の札幌W杯では、2戦とも予選落ち。フォームやトレーニング方法を試行錯誤したが、なかなか結果が出ない状況に苦しみ続けた。
今季は徐々に上昇気流へ 「この2年間を考えれば大きな一歩」
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諦めず、自分を信じて取り組んできた結果が、ようやく実を結びつつある。五輪プレシーズンの今季は、サマー大会で1勝。2季連続でW杯遠征メンバーからは外れていたが、国内開幕の名寄2連戦で2勝。12月と1月の国内外コンチネンタル杯は7試合中6試合で1桁順位。ポイントを大きく積み上げ、W杯組に昇格。ビリンゲン大会では2年ぶりのW杯ポイントも獲得した。
チャンスを自力で切り開いた。「それに一喜一憂することはしないけど、この2年間を考えれば大きな一歩なので、自分にとっても良いきっかけになりましたし、それに慢心することなく、まい進していけるように、変わらず自分のジャンプと向き合っていければ」。その表情は以前よりも明るくなった。
予選を17位で通過した佐藤幸=撮影・金田翔
まずは世界選手権で結果を出すために
今大会は世界選手権の最終選考を兼ねる。このままいけば、メンバー入りも可能な位置につけるが、「出場することにも意味はありますけど、出場するだけではアスリートとして話にならない。まずここでポイントを加算できるようにジャンプをつくり上げて、明日2本、良いジャンプができるように、また準備したい。誰が代表になってもメダル争いできるよう、日本チームとして頑張っていきたい」。
予選を終え、電光掲示板を見上げる佐藤幸
「攻め抜いて、良い風をつかむ」
その先には2大会連続となる五輪出場も視野に入る。「もう落ちるところまで落ちましたので、あとは上がるだけ。ここでビッグステップを踏めるように頑張りたい。結果にこだわる必要があるので、久しぶりっていう何か思いふけるものはないけど、来年への戦いが始まってるので、来年よりも今年の方が重要だと個人的に考えてます。冷静さが一番ですけど、守りに入らず、攻め抜いて、良い風をつかめるように、メンタル面も含めながらつくっていければ」。翼を取り戻した佐藤幸、再び世界の強豪と頂点を競い合う。
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