《ハム番24時》2月15日
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待望の一本が、実戦5試合目でついに出た。15日に行われた紅白戦の九回表。2点ビハインドの紅組が土壇場で迎えた一死満塁のチャンスで、打席に立ったのが山口アタルだ。「その一球を打ちにいくという気持ちで立ちました」と、強い意気込みを抱いて打席に臨むと、鋭く振り抜いた打球はレフト前で弾み、2者が生還した。
引き分けへと持ち込む貴重な2点打を放ち、「本当にすっきりしました。全然、ヒットが出なかった中で、やっと出て、ちょっとすっきりしました」。ノーヒットの呪縛から、ようやく抜け出すことができた。
育成契約ながら今キャンプでは1軍メンバーに抜てきされた。だが、ここまでの実戦4試合ではいずれもノーヒット。第3クールが終わった13日に無念の2軍行きが伝えられた。同日に行われる予定だった中日との練習試合でのアピールを目指していたが、同戦は雨で中止。ラストチャンスの舞台に立つことすら、かなわなかった。
「今年のテーマは、自分がやれることしかやらない。天気とかは自分がコントロールできないので、その中でどうやって対応していくかが大事だと思っている」と、恨み言の一つも漏らさず、自分の成長のための糧にしようと受け入れている。
キャンプ初日の言葉を思い出した。朝から吹き荒れていた暴風の中で行われた外野守備練習では、フライのボールがノッカー方向へと押し戻されるシーンが続出。そんな中でも「あんなに強い風で守備練習したのは初めてだったので、本当にいい経験です」と、何事も前向きに捉えて練習に励み続けていた。
「ファームに落ちたことに対しても前向きで。ファームでも1軍でもやることは一緒なので、結果を出し続けたいと思っています」。そう言い残して国頭の宿舎へと引き揚げた背番号127が、再び1軍練習の輪の中に戻ってくる日を期待したい。