《岩本勉のガン流F論》下柳さん、温水洋一さん、グレート義太夫さんに祝ってもらった開幕戦完封
満を持してマウンドに上がった開幕投手
ここまで長かったはず。早く実戦のマウンドに立ちたかったに違いない。18日の練習試合・中日戦。金村が今季実戦初登板で1回をパーフェクトに抑えた。開幕投手を言い渡されたのが昨年11月30日のファンフェスティバル。プレッシャーを払拭するにはマウンドで結果を出すしかない。
作り笑顔が本当の笑みに変わっただろう。さらに次回の登板、その次と課題をクリアし、結果を出していけば、笑みは顔いっぱいに広がっていく。その輝きがチームに安心感を与える。
フォークで確認できた順調な調整
滑り出しとしては上々だった。1死後、2番の村松を空振り三振に切って取った。私にはフォークに見えたのだが、バッターが反応し振ってくれた。これは投手にとって良い状態。身のこなしも軽快だった。本人もスッとしただろう。
野村も背負っているプレッシャー
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金村に限らない。早々と4番に指名された野村にも言えることだ。プレッシャーをはねのけてこそ、自信が芽生え、その姿を見てチームメートは信頼を置く。これまで2人とも、1年を通じてそれぞれのポジションを全うしたことがない。今回の開幕投手と4番。それは新庄監督から白羽の矢が立っただけ。だからこそ、プロ野球選手として意気に感じ、いい調整を続けていってもらいたい。
指名を受けての開幕投手は1998年が初
開幕投手。私も5度、務めさせていただいた。最初は1996年だったが、この年は開幕戦が雨で流れたため、結果的にシーズン初戦のマウンドが巡ってきた。事前に指名を受けての大役は98年。たしかオープニングゲームの2~3週間前に伝えられた。
キャンプでの実戦登板は一心不乱だった。今、振り返れば、それが良かった。必死になっている姿をチームメートが見てくれていたのだろう。野手との間に信頼関係が築かれていったのを実感できた。結果は西武を相手に完封勝利(5-0)。最高のスタートを切れた。
忘れられない先輩左腕からの言葉
その夜のことは今でもハッキリと覚えている。下柳さんに立川の焼き肉屋へ連れて行ってもらった。先輩左腕のつながりで、俳優の温水洋一さん、タレントのグレート義太夫さんもいらっしゃったっけ。
下柳さんから、いただいた言葉は脳裏に焼き付いている。「きょう、プロ野球選手の中で、おまえが一番かっこええで!」
金村に野村。重圧を乗り越え、最高の瞬間を味わってや! 期待してるで!