梅林優貴 〝ベッツと決別〟を4回経て回帰 打撃動画を送ったメジャーMVPからの返信は…
七回2死、中前打を放つ梅林=撮影・宮永春希
■2軍練習試合 阪神2-1日本ハム(2月20日、Enagicスタジアム名護)
封印したベッツ打法を3日前に再開
〝ベッツの教え〟が生きた。日本ハムの梅林優貴捕手(26)が20日、沖縄・名護で阪神との2軍練習試合に途中出場し、1打数1安打と結果を残した。七回2死から左腕・伊藤稜の直球を中前にはじき返し「ベッツの打ち方をやめていた時期もあったんですけど、3日前ぐらいに、これかな、というものをつかんで、ベッツに教えてもらった打ち方に戻しました。今はすごい感じ良く打てている」と手応えを口にした。
正解が遠かった〝先生〟の教え
1月下旬にドジャースのムーキー・ベッツ内野手(32)と東京都内で合同練習を行った。合計3時間にも及ぶマンツーマンの打撃指導を受けるなど奇跡的な時間を過ごし、そこからベッツ打法習得を目指して猛練習を積んできた。
七回2死、中前打を放った梅林
しかし、メジャーMVP獲得経験もあるスーパースターに近づくのは簡単ではない。試行錯誤を繰り返しても〝ベッツ先生〟のような正解は遠く、「キャンプに入ってからここまでもう4回、ベッツのバッティングをやめたんです」と何度も諦めかけた。
万波に「ベッツと決ベッツ」宣言 しかし、ある夜にひらめきが…
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15日の紅白戦でも安打を放ったが、このときはベッツ打法と決別していた。「紅白戦の日の朝、やめたんです。これはもうだめだってなって、まんちゅう(万波)にはいつも『ベッツと決ベッツ(決別)』と言っているんですけど、まんちゅうにだめだって言って、元のバッティングに戻しました」。
それでも、せっかくの奇跡を無駄にはしたくなかった。数日前の眠れない夜、ふとベッツの打撃を見返していると、「こんな感じなのかもしれない」とひらめいた。「それからまたベッツに戻して、練習でも良くなってきています」。4度諦めかけ、5回目のチャレンジでようやく確かな手応えを感じた。
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トモダチは待ってくれていた
ベッツとはすでに連絡先を交換している。現状の打撃が師匠の目にどう映るか確認してもらいたかったが、当初は「もうベッツもキャンプに入っていたので、あんまり連絡しにくいな」と遠慮していた。ただ、実はベッツもまた、東京での練習を親身にサポートしてくれた友達「ウメ」の状態を気にかけていた。
ついに打撃動画を送信 通訳は山口
知り合いを通じて「ベッツがウメ(梅林)から全然連絡がないみたいな話をしていた。連絡してきていいよという感じだった」と伝え聞き、すぐに自身の打撃動画を送信。英語のメッセージのやりとりは、山口アタルに翻訳を頼んだ。「前は自分で、グーグル翻訳でやっていたんですけど、微妙なニュアンスが違うらしくて。今回はアタルに頼みました。前までは、まだベッツに片手での打撃練習の映像しか送っていなかったんですけど、今回、初めて両手の映像も送って、『良い感じに進んでいると思う』と返信をもらったので、この方向で行きたいなと思っています。すぐ返事をくれて、ちょっとすっきりしました」。恩人からの言葉に、迷いが吹っ切れた。
1月、ベッツ(右)と会食し、記念撮影する梅林(本人提供)
ここでやめたら成長も止まる
2試合連続で快音を鳴らしているが、正捕手争いが熾烈なことは痛感している。「郡司もいて、(伏見)寅威さんも調子が良くて、(清水)優心さんもいて、田宮も去年の状態だったら、なかなか難しいと思う。でもベッツの話にもありましたけど、そこでやめちゃったら成長が止まっちゃうなと思うので、1軍でも2軍でも同じ気持ちで、毎日何か成長できたら」。今は2軍の国頭で、オフも休まずバットを振る日々。それでもいつかベッツのように、スポットライトを浴びる日が来ることを信じている。