【10年前の忘れもの】⑧日本ハムの伏見寅威(34)&今川優馬(28)選抜甲子園出場の東海大札幌高へ必勝エール
F戦士が振り返る高校最後の夏
後輩にエールを送った北海道日本ハムファイターズの今川(左)と伏見=撮影・松本奈央
地元球団で活躍する先輩2人が登場
3月18日に阪神甲子園球場で開幕する選抜高校野球大会に東海大札幌高が10年ぶりに出場する。2016年春に東海大四から校名変更後は初。道新スポーツデジタルでは歴代のOBらから後輩への必勝エールを取材。「10年前の忘れもの」と題して不定期連載でお届けする。第8回は北海道日本ハムファイターズの伏見寅威捕手(34)と今川優馬外野手(28)。エールを送るとともにプロ野球選手としての自分を培った〝四高〟時代を振り返った。
現在の母校の印象を語り、必勝エールを送った伏見
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10年ぶりのセンバツをたぐり寄せた昨秋の全道大会優勝。大和ハウスプレミストドームの客席から見守っていた伏見は、遠藤愛義監督(40)の率いるチームについて「アグレッシブな印象でした。僕が見た試合では、けん制アウトがわりと多かったんですけど、次の塁を狙う姿勢だったり、そういうのが今までの四高になかったのかな」との印象を語った。一方、その日はフェニックス・リーグで研鑽を積んでいた今川は速報で優勝を知った。「甲子園に出ることがやっぱりみんなの一つの目標。あの場所に行けるのは本当に限られたごく一部の選手」と後輩たちを称えた。
甲子園出場を決めた母校をたたえ、必勝エールを送った今川
校名と校舎変わっても母校愛は不変
校名が変わって約9年。2人とも「寂しいですね」と声を揃える。その上で今川は「校舎も変わっちゃって、名前も校舎もなくなっちゃったんですけど、自分の母校であることに変わりはないんで、ずっとチェックしてますし、後輩たちが活躍したら自分のことのように嬉しい」と笑顔を見せた。
甲子園との縁はそれぞれ違っていて…
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聖地との縁では明暗を分けた2人だ。1年秋からレギュラーをつかみ、主将も務めた伏見は3年春の全道大会は頂点に立ったが、優勝候補として臨んだ最後の夏は南北海道大会準決勝で札幌第一に敗戦。3年間で甲子園の土を踏むことは叶わなかった。「勝った試合よりも負けた試合の方が印象に残っている」と、今でも悔しさが脳裏に焼き付いている。「甲子園は分かりやすい目標だった。(春の)全道大会優勝まで行って、あと1つ2つっていうところまでは行けたんですけど、あともうちょっとで、っていう。(甲子園は)近そうで、ものすごく遠い場所でしたね、僕の高校3年間では」と一発勝負を勝ち抜く難しさを痛感した高校生活だった。
2008年7月18日南北海道大会準決勝・札幌第一戦に破れ、伏見(右)の最後の夏となった
左手首骨折から執念の回復見せベンチ入り
今川は3年夏に甲子園出場を果たしたが、その春の八戸遠征では左手首を骨折するアクシデントに見舞われた。最初こそ負傷を隠しながら、試合出場を続けていたが「(腫れて)パンパンすぎて、(打撃)手袋もはめられなくて、監督にバレて交代せざるを得なくなった」と苦笑いした。夏の大会出場も絶望的ではあったが〝執念〟が実った。酸素カプセルを活用するなど、回復に全精力を注いだことで、何とかベンチ入りにこぎつけた。そしてたどり着いた甲子園では、今ではチームメートの清水、石川直とも対戦。その石川直から放った左前打は「僕の3年間の集大成」と目を細めた。
2014年8月19日、全国高校野球選手権2回戦の山形中央戦で、現チームメイトの石川直から安打を放った今川
スローボールマシン贈呈を予定
母校にはスローボールマシンを贈呈する予定。聖地でタテジマのユニホームが躍動する姿を2人とも期待している。「僕は甲子園を経験できなかったので、すごくうらやましいですし、本当に誰もが経験できるような舞台ではないので、存分に自分たちの野球をやって、真剣勝負を楽しんでほしい」(伏見)。「北海道は1チームしか出られないので、そこを勝ち抜いたことにすごく自信を持って、思う存分、後悔なく楽しんでほしい」(今川)。日本最高峰の舞台で戦っているF戦士からのエールは、何よりも心強い言葉となる。