【緊急特別対談】宮西尚生×増井浩俊さん 久々の再会で大いに語り合う! 前後編にわたって、ほぼノーカットでお届け
宮西(右)の300ホールド達成記念Tシャツを増井さんが持参し、2人で笑顔=撮影・松本奈央
勝利の方程式を担ってきたリリーフコンビ
日本ハムの宮西尚生投手(39)と、今キャンプで解説者デビューを果たした増井浩俊さん(40)のスペシャル対談が実現した。1学年違いで常に行動を共にしていたリリーフコンビが、3年ぶりに再会。2018年にオリックスへFA移籍し、22年限りで現役を引退した増井さんが盟友のレジェンド左腕に持ちかけた夢プランとは? 「ミヤさん」、「まっすー」と呼び合う2人の掛け合いを【前編】、【後編】にわたって〝ほぼノーカット〟でお楽しみください。
【緊急特別対談】宮西尚生×増井浩俊さん(後編)
2017年3月、並んでストレッチをする宮西(右)と増井
感動の再会! とはならず…
宮西「お待たせ~!」
増井「(スマートフォンに夢中)」
―今、増井さんは札幌のキャンプ場を探しています
宮西「キャンプ場!? なんで? オレ、虫嫌い!」
―一緒にキャンプに行く企画をできないかと
増井「ミヤさん、無理だよ」
宮西「虫、無理」
増井「虫、無理なんだ~。やっぱり」
宮西「虫、無理やし、花粉症やし、雑草アレルギーやし」
増井「全然、合わなかった(しょんぼり)」
宮西「でも、キャンプするのは好きやけど、意外に! テントとか作ったり、バーベキューやって満足して帰りたくなる。泊まりたくない。なので(キャンプ企画は)没です!」
増井「あ~」
宮西「ホテルの方がいいよ」
増井「あ~やっぱね。そうなっちゃうよね」
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意外だった!?解説者デビュー
―きょうは再会を祝して、思う存分に語らってください!
宮西「語らって! 何年ぶりやろ?」
増井「オレが札幌ドーム行って、ウエート場に顔出した時かな」
宮西「その後、2年は会っていない。(解説者デビューは)びっくりしたよ。ようやく働く気になったのかなって(笑)」
増井「なんかしら来るなと思った?」
宮西「思わなかった。逃亡するやろうな、っていうイメージしかなかった(笑)。戻ってくるというか、解説やけど、びっくりした感じと、なんやろうな。選手が全くガラッと変わっているから。大丈夫かなって。ちゃんと教えないと、という先輩思いのところが。後輩の優しさが出てしまう。だいたい見てました? 引退してからファイターズの試合見てないでしょ」
増井「(小さくうなずく)」
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まだまだ読めない新庄野球
宮西「解説できないよ。絶対。王道っていうものが、ほぼないから。試合の。例えばですけど、ここ送りバントとか作戦面とかもそうやし、起用も読めないよ。オレも3年かかった。それでもまだ、おおっ、こっちか、というのもあるし」
増井「だから新鮮な解説できるかなって」
宮西「確かにね。固定観念がない人が来た方がいいかも。向いている! いけるんじゃない?」
増井「ミヤさんはもし…」
宮西「引退したら?」
増井「しゃべったり」
宮西「オレはね。8割くらい家にいたい」
増井「あ~そうね」
宮西「ずっと野球やってきたし」
増井「そうだね。一緒だね」
レジェンド左腕が引退後にしたいこと
宮西「それこそ家族。子どもも小さいし、3人。オレ、少年野球のコーチしようかなって」
増井「え~、ミヤが~。厳しそう」
宮西「スパルタで」
増井「こんなレジェンド少年野球コーチやばいよ」
宮西「でもホンマ、子どもに対して何もやれていないからね。1年、2年くらい時間を置きたいね。理想としたら。そう考えると長男なんて何もしてあげられてないし、次男も微妙やし。やめたら時間欲しいよね」
増井「そうそうそう。それは確かに」
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現場復帰の理想的なタイミング
宮西「オファー来ても、来てくれるのは有り難いことやけど。たまにね。ずっと家にはいたくない。2割くらいは北海道にいたいから。ずっとオレが家おったら嫁ぶち切れるよ。2~3割程度は自由に野球を見たいよね」
増井「じゃあ速攻、コーチとかは」
宮西「今はオレは全くやりたいと思っていない」
増井「似ているな~やっぱり」
ともに監督はOK コーチはNG!?
―将来的に監督のオファーもありそう
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宮西「監督はやってみたい! 監督はやってみたいけど、コーチはやりたくない」
増井「分かる!」
宮西「教えられないもん」
増井「分かる!」
―いつも後輩に教えているイメージ
宮西「根性よ。根性論」
増井「やるなら監督の方がいいよね」
宮西「そりゃ、監督も大変やけど、コーチはもっと大変なイメージがある。選手のモチベーションとか。そこらへんの器用さあったとしても、オレいらんこと言いそう」
増井「分かる。オレもそう」
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これはあるぞ! YouTubeでのコラボ
宮西「一番は自分の時間、自由な時間」
増井「一緒にYouTubeやりましょ」
宮西「いいね。いいね」
増井「あるよ! これはあるよ!」
宮西「大炎上商法するか」
増井「やだよ~炎上」
常に全力投球で悔いを残さず
宮西「やっぱり好きなことやっていきたいよね。趣味に没頭したい。野球は引退したらいいかな。なんでかっていったら、満足している部分があるかも」
増井「オレはそうよ」
宮西「野球に対して満足しているというか」
増井「あなたは、でもね。復活したから。まだ満足してないのかなと思って」
宮西「いやいやいや。オレは、満足は常にしているし」
増井「でも、まだ」
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最後のキャンプと覚悟を決めていた昨季
宮西「終わり方の模索というか、どういう形で終わるのが、らしいかって、そこがまだ答えが出ていない。もがき苦しんででもやるパターンなのか、スパッと監督みたいに優勝してやめるか。そういう模索の中で楽しく終わろうと思ってファームで遊んでいたんよ。ホンマに。チェンジアップで。ホンマのファームの試合なんて、ナメてんのかっていうくらいチェンジアップしか放ってなかった。それが楽しくてね。勝手にチョンチョンチョンって上に上がったというか(笑)」
増井「そういうことなのか」
宮西「トントン拍子で、というか。良い流れになって」
増井「そういう経緯なんだ。オレはすごい考えてモデルチェンジしたのかと思っていた。あのミヤが真っすぐ、スライダーじゃなくてチェンジアップ習得している~って。そこまでして復活したかったんだ。すげえな、と思っていたのに」
宮西「いやいやいや。去年の国頭でオレは一人だけグラウンドに『今までありがとうございました』と、あいさつして帰ったから。来年来ることないやろうなって思いながら。今年で最後のキャンプだなと思いながら。あれ? 気付いたら、また来ているって」
増井「そうなんだ」
完全復活のきっかけは遊び心
宮西「それこそキャンプ中にネコさん(金子投手コーチ)にチェンジアップ、シンカーみたいなの放っていたけど、ちょっと投げ方変えてみたら、って言われて、いいっすよ。別に何も思っていないし。シンカーに対して、なんの未練もないし。回転かける感じで放ってみて、って言われて。放ったら1球目からすごく良かった。あれ?って。こっちの方がしっくりくるかもって。キャンプ中ずっとチェンジアップ放っていたし。だいたいキャンプで放ってもオープン戦とか投げ出したら投げなくなるじゃないですか。やっぱ無理かな、みたいな。なんか、遊ぼみたいな。別に復活しようというのを前面に押し出したわけではない」
増井「分からないもんだな」
宮西「分からないもんですね。本当にそればっかりは」
2024年2月3日、国頭キャンプのブルペンで金子2軍投手コーチ(右)から助言をもらう宮西
キャリア晩年に思うプロの厳しさ
増井「終わり方を模索しているって言っていたけど、オレは終わりたいように終われなかったわけよ」
宮西「それは、ぜいたくやなって思う。幸せな悩みだよね」
増井「オレは肩痛めるまでやりたかったな」
宮西「オレはずっと肘痛いし。この苦痛から逃れたいっていう」
増井「投げられるうちに、やめたくなかったけど、でもやっぱりさ。戦力にならないと、そこまでできない」
宮西「この厳しい世界やしね」
増井「だからそういうふうに終われなかったのは…オレはね」
「よう頑張ったな、というところまではやり続けないとアカンのかな」
宮西「でも最近、年取って、この年まで野球やっていてすごく思うのはさ。シーズンオフとかオフ前とか、引退する選手いっぱいいるでしょ。コメントで未練がないとか、自分でもやりきったと思えていると言うけど、絶対そういう人おらんかったと思う。ほとんどの人はもうちょっとやりたかったとか、まだできるのに、という葛藤があって。けがなんて特にそうだと思うよ。けがせんかったら、と思うだろうし、だから答えが分からないというか」
増井「たぶん誰も分からないよね」
宮西「答えないと思うのよ。ありがたいことに(チーム統轄本部長の)吉村さんとかも、好きなだけやって、みたいな」
増井「そこまで言われる選手になりたかったな~」
宮西「だから、ありがたいねんけど、逆に困っちゃう(笑)。背中を押してくれって、みたいな思いもあるし、でもすげ~ありがたいなって思う。逆に周りが、ミヤさんもういいっしょ、みたいなくらいまでやるのが、使命なのかなっていうのもある。去年とか、OBの先輩方が、こんな感じで絶対、終わるなよ、ってみんな言ってくれていた。だから、よう頑張ったな、というところまではやり続けないとアカンのかな、ってちょっと思っているけどね」
2016年11月20日、優勝パーレードでオープンカーに乗り、手を振る増井(左)と宮西(右)
《後編に続く》
【緊急特別対談】宮西尚生×増井浩俊さん(後編)