矢沢宏太 俊足生かす技術を磨く「最低でも20盗塁」 2人ですしを食べに行ったこともある松岡の昇格には…
3月8日のオイシックス戦で2安打1盗塁と躍動した矢沢=撮影・近藤裕介
スピードも魅力の二刀流戦士
日本ハムの矢沢宏太投手兼外野手(24)が、持ち前の足の速さを生かす〝走力強化〟に取り組んでいる。
11日のロッテ戦(ZOZOマリン)からは1軍に再合流する予定だが、8、9日は鎌ケ谷で2軍戦に出場。テーマに「セーフティーバントと盗塁」を掲げ、開幕後を見据えて意識的に実戦での試行錯誤を繰り返した。
田中賢介SAからも太鼓判
セーフティーバントは、春季キャンプ中に犠打指導を受けた田中賢介SA(スペシャル・アドバイザー、43)から「セーフティー、結構、良い感じだから、試合でやったら、たぶんセーフだよ」と太鼓判をもらった。
俊足の左打者に犠打技術が加われば、相手にとっては大きな脅威。今季は「もっともっとチャレンジしてやっていきたい」と試行機会を増やすつもりだ。

チャレンジ自体に意義
8日のオイシックス戦では2度、試みた。「1つはタイミングが合わなくて、もう1つはボールだと思ったらストライクだった」と成功には至らなかったが、セーフティーを警戒させることで、内野手を前進させてヒットゾーンを広げる効果もある。
「最初、1打席目にセーフティーの構えをしたんですけど、そうすると2球目には(内野が)前に来た。前に来れば、打球が速いとヒットゾーンも増えてきますし、視野を広く持ってやっていきたい」
盗塁に高いノルマ設定
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盗塁にも力を入れる。昨季までの2年間は出塁機会が少なかったこともあり、まだ通算2盗塁。今季は一気に基準を上げ、「最低でも20盗塁」と高いノルマを設定した。
同戦では1点を追う九回1死から右前打で出塁し、続く奈良間の打席で二盗に成功。同点の生還も果たし「最終回、1点差の絶対、アウトになっちゃいけないところで盗塁を決められたので、そこは良かったかなと思います」と自信を深めた。
代走出場も視野 「今のうちにいろいろトライ」
自身で出塁した場合はもちろん、シーズン中は代走で起用されることも想定し「〝盗塁ができる〟という状態をつくっておくことが大事。リラックスして試合に出るために、今のうちにいろいろトライして、ゆとりを持ってやっていけたら」と準備を大切にする。
成功のカギはスタート 相手の警戒は重々承知
盗塁のキーポイントに挙げたのは、やはり「スタート」だ。
「(同戦の九回に盗塁した際の)ピッチャーはクイックが1.1(秒)とかで速い方だったので、(タイミングを)探っていく中で、(スタートが)ちょっと遅いなと思ったら、(スタートを)切るんですけど、(途中で)やめる。今回も、最初に切った時は自分の中ではちょっと遅かったのでやめて、奈良間もそれを見ててくれた。次に自分が完璧なスタートを切って、奈良間が見逃してくれて。クイックが速ければ、そういうベストなスタートが切りたいですし、クイックが遅ければ、ある程度ゆとりを持って、けん制とかでのミスがないスタートも大事になってくる。足が速いのは(相手に)分かられていることなので、警戒される中で良いスタートが切れたら」

同学年右腕の昇格でモチベーション上昇
同学年の松岡が支配下昇格を果たした。2人ですしを食べに行ったり、ゴルフの打ちっぱなしに行ったりすることもある。
矢沢は「キャンプから、本当にすごい球を投げていた」と右腕をたたえ、「負けていられないなというよりかは、チームメートなので、一緒に1軍でプレーすることが、今年の(オフの)楽しい同級生会につながるのかなと思う。(同学年の)みんなが(会を)楽しめるように、みんなが同じ舞台でプレーしたいなと思います」と、ミレニアム世代全員での活躍を願った。
新たなチャレンジに打って出るプロ3年目
2000年度生まれの世代はチームに13人という最大派閥。ただ、その中でも明確に足が武器なのは矢沢だけだ。
投手を一時封印し、野手に絞って臨むプロ3年目。特長を生かす術を身に付け、1軍の戦力として欠かせない存在になってみせる。
