北山亘基 金子千尋コーチへの〝成果報告〟完了 その内容は…
ブルペンでの投球練習を終えた北山=撮影・近藤裕介
先発が雨で流れるも充実のブルペン投球
日本ハムの北山亘基投手(25)が16日、先発予定だった2軍ロッテ戦が雨天中止となり、鎌ケ谷でブルペン入りした。
37球を投じ「カットボールの球速がすごく出ていましたし、真っすぐも、全体的にも悪くなかったです。きょう試合があれば、もう一個ギアが上がって良い形になっていた感触はあるので、(前回登板から)ここまでの調整は悪くなかったんじゃないかなという確認ができました」と納得の表情を浮かべた。次回は18日の2軍西武戦(カーミニーク)にスライド登板する。
ファイターズの新雨男!?
キャンプから順調に調整を進めている右腕も、天気には勝てなかった。早々に中止が決定し、やむ気配のない空模様に「雨男ですね。なんか、雨男説が出てきました。僕、屋内(で登板)だったら、そんな(雨が降る)ことないんですけど、屋外はことごとく雨が降るんですよ」と苦笑いした。
2軍では4年目右腕の達にも雨男疑惑が浮上しているが、後輩が先日、東京・高円寺の気象神社に参拝に行ったことを伝え聞くと「達が(雨男では)なくなって、僕に移った説もありますね(笑)」と冗談めかした。
投球練習後にコーチ陣と話す北山(右)
着実に積み重ねてきたキャリアが自信の礎
開幕前の貴重な実戦が流れても、焦りは全くない。ルーキーイヤーに異例の開幕投手を務めるなど、過去3年で多くの経験を積み〝シーズンへの入り方〟は学習済みだ。
「準備を先回りしてやっていくというか、先回りして、シーズンでどうなりたいか、しっかりイメージを膨らませておいて、そこに向けて着実に取り組んでいくことが大事かなと思っています。そこに向けてどう準備していけば間に合うのか、しっかり100%の状態で(開幕を)迎えられるのか。今回のオフもそこを見据えて、しっかりやってきた。それがキャンプでもしっかりできましたし、オープン戦期間中も、良い部分も悪い部分もあるんですけど、着実に仕上がってきている」と自負した。
発想の転換 沢村賞右腕から受けたアドバイス
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今回、鎌ケ谷での登板が決まった時から、北山にはやりたいことがあった。プロ入り以来、転機となるタイミングでいつも、的確な助言をもらってきた金子千尋2軍投手コーチへの〝成果報告〟だ。
今から約2年前、北山は金子コーチから「2ボールになった時の捉え方」についてアドバイスをもらっていた。「2ボールからの1球の捉え方。結果、その1球で抑えてしまえば、3球三振と球数は一緒で、3球で抑えているという時点である意味、最高の結果。1ボールになってしまった、2ボールになってしまったという時に、どう捉えるか。どう逆転の発想だったり、見方、角度を変えてみるか。それだけで全然、結果は変わってくる」と教わった。
しかし、当時はそれを体現する準備が整っていなかった。「いつかそうやってピッチングできたらいいなと思いつつも、なかなか体の部分だったり、技術の部分が追い付いていなかった」と振り返る。
ついに実践できた〝金子メソッド〟
そして今年、ようやくオープン戦で一度、教え通りの打ち取り方を実践することができた。
「今回のオープン戦期間中に、2ボールのカウントで3球目にカットボールを投げたシチュエーションがあって、バッターがそれを打ち損じてセカンドゴロでアウトになったんです。結果、3球で終わってる。でも、ボールが2球続いた段階では2ボールという状況。そこでどう捉えるかがすごく大事。以前、金子コーチから言われたことで、それがだんだん自分のピッチングに少しずつ反映できるようになってきた。そういうピッチングの意識の幅というか、心持ちの幅が広がってきて、それが実践できて、自分の中ですごくうれしくて、これを次に会った時に(金子コーチに)報告したいな、しゃべりたいなと思っていたタイミングで、この鎌ケ谷だったので、さっき(ブルペン投球後に)その話をしました。『初めて、金子さんに教えてもらったピッチングが一回できました』という感じで報告しました」

新たな助言も 「すごく良い機会になりそうです」
金子コーチからは「良かった」という言葉とともに、次なる高みも示された。
「そこからもう一個先の、より幅を広げていった内容をちょっとしゃべりました。それは企業秘密なんですけど、幅の広げ方、視点、角度の変え方は、金子さんのおかげですごく柔軟になってきているんじゃないかなと思います。(今回、金子コーチと過ごすのは)短い間だと思うんですけど、 すごく良い機会になりそうです 」
狙うは優勝の2文字のみ! 「そのど真ん中に」
「一番尊敬している」と全幅の信頼を置く金子コーチからの金言を胸に、北山が目指すのはただ一つ、頂点だけだ。
「もう優勝しか目指していないですし、そこの戦力になること以外、考えていない。別に個人的にどうこうしてやろうとか、アピールして活躍してというよりかは、チームが優勝して、そのど真ん中に入り込んでいくぐらいのピースになれたら。あとは実力を付けることと、結果を出し続ける以外にないと思うので、本当にそこだけ集中してやれたらいいんじゃないかなと思っています」。「先回り」が得意な右腕。頭の中にはすでに、歓喜の輪の中心に立つ背番号57の姿があるはずだ。