《鶴岡慎也のツルのひと声》ダルビッシュからのねぎらいの言葉は引退してから
■オープン戦 巨人2-5日本ハム(3月19日、エスコンフィールド北海道)
楽しみで仕方ない今季のファイターズ
開幕まで10日を切った中で行われたオープン戦。見どころの多い試合だった。開幕投手に決まっている金村と、女房役を務めた田宮は…、まず置いておいて。今季のファイターズは楽しみで仕方ない。何より選手層が厚い。ホークスにも引けを取らない。むしろ、上回っているかもしれない。
ダメなところが見当たらない
私事ですが、今年で評論家4年目。初めて胸を張って優勝予想チームにファイターズの名を挙げられる。決して願望や希望ではない。野手は各ポジションでレベルの高い争いを繰り広げている。唯一、二遊間を守る選手の状態が思うように上がっていなかったが、この日の試合で上川畑と水野がきっちりと結果を出した。レギュラーに不安なしといった印象を首脳陣にも与えられただろう。今季の日本ハムは現状、「ここがダメ」という箇所が見当たらない。
イメージ通りに巨人の4番を空振り三振
さて、開幕投手の金村。前回の登板までは、どこか消化不良な内容が続いていた。それがこの日は6回4安打1失点。まだまだ目指すピッチングには及ばないだろうが、ここ数試合では一番の出来だった。
4番の岡本に一発を浴びたが、その岡本を最後(六回2死走者なしで)に空振り三振に仕留めた。あれが大きかった。しっかりとイメージ通りにスライダーで空振りさせた。ここから開幕まで、気持ち良く調整できるはずだ。
開幕マスクが濃厚な田宮
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女房役を務めたのは田宮。金村のオープン戦ラスト登板でバッテリーを組んだ。開幕マスクは濃厚だろう。伏見や郡司がキャンプから好調を維持。田宮の中に焦りもあったはず。好リードに加え、バットでも三回の第2打席で中前打。前向きな気持ちになれただろう。
左バッターが欲しい開幕戦のラインアップ
伏見に郡司に田宮。誰が開幕マスクをかぶってもおかしくはない。それだけ3人の状態が良い。田宮のスタメンを前提とするならば、対今井という戦略的な要素も加わる。西武の開幕投手に決まっている右腕。昨季の被打率(vs右打者が.176、vs左打者が.241)を考えれば、左バッターが1人でも多くオーダーに欲しい。
いずれにしても田宮にとっては昨季に続くビッグチャンス。良い結果を残せれば、最高のスタートと思える。芳しくなかった場合は143分の1と割り切ればいい。
忘れられない2008年の開幕戦
私にも経験がある。最も印象に残っているのはやはり、初めて開幕マスクをかぶった2008年。先発投手は当然、ダルビッシュだった。ダルの場合は勝って当たり前。私自身も勝たなきゃいけないというプレッシャーを感じていた。結果は1-0でロッテに勝利。最高の滑り出しとなった。その試合、2安打を放つことができ、唯一、ホームも踏んだ。とはいえ、やはり0封が格別だった。
ダルから特別、ねぎらいの言葉はなかった。そういった言葉をかけてもらったのは私がユニホームを脱いでから。そこがまた、彼らしい。
長く険しいペナントレース すべてをプラスに
その翌年、09は開幕から実に3連敗。楽天に3タテを食らった。でもこの年、リーグ優勝を飾ることができた。開幕1軍や開幕スタメンはプロ野球選手にとっては1つの目標であり、指針である。でも、都合良く考えていい。ペナントレースは長いのだから。