野村佑希 先制打につながった読みと状況判断 明確にイメージしている4番の仕事とはー
一回1死一、二塁で先制打を放った野村(右)=撮影・松本奈央
■オープン戦 ヤクルト2-5日本ハム(3月21日、エスコンフィールド北海道)
先制タイムリーを含むマルチ安打
日本ハムの野村佑希内野手(24)がスタメン出場し、先制打を含むマルチ安打をマークした。
4番で迎えるシーズン開幕が迫ってきているが、気負いはない。しぶとく食らい付き、チームの勝利につながる一打を生み出す。
これぞ4番の仕事! 「状況を整理していけました」
確信を持ったスイングで主導権を引き寄せ、大量点を呼び込んだ。一回1死一、二塁。高橋のカーブの後の150キロ直球を迷わず、つかまえた。
右前に運ぶ先制の適時打。「いいところに飛んでいるので良かったです。状況を整理していけました」と納得の表情を浮かべた。

3日前の反省を生かした一打
18日の巨人戦(エスコン)が布石だった。
「巨人の井上と対戦した時、カーブの後の真っすぐに手が出なくて、(相手がデータを)見ているかなと。後ろがモーレ(レイエス)と万中(万波)なので、無理に長打を狙う場面でもない。次につなげられるようにと頭に入れながら打ちました」。冷静に相手の心理や配球を読み、最良の結果につなげた。
新庄監督の〝スルー〟も笑顔で甘受
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球団広報を通じたタイムリー談話では「前回ホームランになったので、ボスの言う通り謙虚にいきました」とユーモアを交えてコメントした。18日に本塁打を放った際は、新庄監督にベンチでバツ印をつくられ、愛情たっぷりのダメ出しを食らっていた。
今回は指揮官の意思に背かない貴重な適時打。本来なら褒められるはずだが「何も言われていないです。完全にモーレのホームランで忘れ去られました」と笑って明かした。
18日の巨人戦で本塁打を放った野村(右)を新庄監督は×ポーズで迎えた
オープン戦打率は.293 好調を維持
オープン戦の打率は.293。崩されるケースは少なく、コンスタントに安打を重ねている。勝負強い打撃に加えて、チャンスを拡大するような巧打も目立つ。
今のファイターズに求められる4番
長距離砲を多く抱える今年のファイターズ打線。野村は自らが果たす4番の役割を明確にイメージしていた。
「ザ・4番打者というよりは、場面による。長打を打てればいいですし、ああいう(複数の走者を置いた)場面で来たら、後ろに長打のあるバッターがいるので、うまくつなげる方が相手は嫌だと思う。そういう意識でいった方がいい」と捉える。ポイントゲッターは1人ではない。柔軟な思考を武器に、臨機応変に対応するスタイルで勝負する。

今シーズンこそ本領発揮だ!
もう、目先の結果に一喜一憂しない。過去とは違う。
「自分の価値、必要性をチームに示して、1年間、出続けられるようにしたい」。腹をくくった背番号5は、覚醒の予感を漂わせている。