《鶴岡慎也のツルのひと声》ソフトバンク時代に感じた一人一人の集中力 優勝は日本ハム!
必然だった日本ハムのオープン戦首位
オープン戦が終了した。しかもファイターズは首位で終えた。この成績は決して、まぐれや偶然ではない。必然だ。なんと言っても今季は各ポジションにおいて選手の層が厚い。昨秋、新庄監督がレギュラーを確約したのは、野手では「4番・野村」だけ。指揮官の頭の中には、ある程度の構想はあるはずだが、チーム内競争が激しい。それぞれが出場機会を求めて躍起になっている。となれば当然、結果に結びつく。
ただ、ポジションがかぶっているだけではなく、各所での争いはハイレベルだ。野手でいえば、浅間や細川、キャッチャーでは清水が現状、2軍にいる。いずれも1軍クラスのプレーヤー。何度も言うが、層の厚さを物語っている。
目立たなかった新庄監督
思い起こせば、今季はキャンプから、いい意味で新庄監督が目立っていなかった。ある程度までは選手やコーチに任せる。チームを率いた3年間で〝新庄野球〟は浸透した。「もう分かっているでしょ」、「しっかりやってね」。信頼の証しなのだろう。と同時に、それは無言のプレッシャーにもなり、選手に緊張感を与えた。
指揮官が発したメッセージ
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19日の巨人戦。試合前の練習で万波が足首を痛め、大事を取って急きょスタメンから外れた。その日、新庄監督は言った。「代わりはいくらでもいる」。一見、冷たく感じる言葉にはメッセージが込められている。コンディショニングの重要性。そして一人一人に「気をつけろ」と警鐘を鳴らしているようにも感じた。
他球団の007も確信していた日本ハムの成長
今季のファイターズを見ていると、ソフトバンクに籍を置いていた頃を思い出す。ダメならすぐに外される。一球一球への集中力は当然、高まる。2年連続でリーグ最下位に沈んだ2022、23年。他球団のスコアラーやプロスカウトが口にしていた言葉もよみがえる。「このチームは強くなるよね」
ペナントレースはホークスとの一騎打ち
優勝予想は…。自信を持ってファイターズと言いたい。ホークスとの一騎打ちとなりそうだ。爆発力、層の厚さではこの2チームが抜きん出ている。これまでなら、「どの選手がいいだろうか」とスタメンを組むのに頭を悩ませていたはずだが、今季は相手投手や戦い方、プランによってオーダーを組むことが可能だろう。
例えば、開幕戦の相手、西武。先発マウンドに上がるのは右の今井と決まっている。左右別の被打率(左打者に.241、右打者に.176)を考えれば、左バッターで足の速い選手をスタメンに置くという選択ができる。状況に応じた理想のオーダーが組めるのは長いペンとレースを考えると、かなりのアドバンテージになる。
豊富な投手陣 カギは勝ちパターンの早期確立
それはキャッチャーにも言える。伏見、郡司、田宮の3人は攻守ともに高いレベルを維持している。いずれも先発マスクに支障はない。ピッチャーとの相性、バッティングの状態などを見極めながら併用していくだろう。投手陣も駒が揃っている。オープン戦でもしっかり先発に勝ち星が付いていた。
カギとなるのは勝利の方程式。中継ぎ、抑えのリリーバーも粒揃い。交流戦までに確立できれば、地に足を着けてどっしりと戦える。役割分担が決まれば、チームにリズムが生まれ、作戦面での計算も立つ。投手一人一人にしても肩をつくるタイミングなどがハッキリとする。
日本ハムファンにとって楽しみなシーズンがいよいよ幕を開ける。