金村尚真 開幕戦でプロ初完封勝利! 晴れ舞台での快投劇を支えてくれた〝頼れる先輩〟
プロ初完封を果たした金村=撮影・松本奈央
■パ・リーグ1回戦 日本ハム2-0西武(3月28日、ベルーナドーム)
08年のダルビッシュ以来の快挙
日本ハムの金村尚真投手(24)が、晴れ舞台でプロ初の完封勝利を達成した。
開幕戦での完封は球団として2008年のダルビッシュ有以来17年ぶりの快挙。16年以来9年ぶりのリーグ優勝、日本一に向けて、チームを大きく勢いづかせる白星をもたらした。
覚悟していた投手戦 「先制点を絶対に与えない」
「絶対に先制点を取られたくなかった。相手も今井さんで、接戦になることは分かっていた。去年はこういう展開で先に点数を与えてしまうことが多かったので、今年は先制点を絶対に与えないという気持ちで投げ抜きました」
9回105球、4奪三振。プロ3年目で初めて経験した完投を見事に完封勝利で飾った金村は、自らが演じた熱投劇を笑顔混じりにそう振り返った。
先発登板した金村=撮影・岩崎勝
頼もしかった同学年バッテリー
同学年の田宮とのバッテリーで迎えた開幕戦。「きょうを迎えるに当たって、2人でたくさん話し合ってきた」と、綿密な打ち合わせを重ねてきた成果が、この試合で十二分に発揮された。四回以降は常にランナーを背負いながらの投球となったが、最後まで相手に本塁を踏ませることはなかった。
「(田宮は)一発を与えたら負けるという接戦に対してのリードで、僕も納得してやっていた。それが結果として出たので、僕もだけど、田宮が一番、ホッとしているんじゃないかなと思う」と相棒を称賛した。
サプライズ指名から4か月
昨年11月のファンフェスティバルで、サプライズで開幕投手に指名されてから4か月。「プレッシャーもあったけど、期待してくれているんだな、というのを感じて練習できたし、本当に良い経験になった。スタッフ、監督を含め、皆さんに感謝したい」と、これまでの日々を感慨深げに振り返った。
一方、「でも、きょうで終わりではなく、スタートなので」と長いシーズンに向けて気持ちを新たにした。

大学時代の女房役が今やチームのブルペン捕手
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そしてこの日の金村の快投の陰には、1人の〝頼れる先輩〟の存在もあった。それが今季からチームに加入したブルペン捕手の山本雅樹さん(25)だ。山本さんは富士大の1年先輩で、大学時代に何度もバッテリーを組んだ。住んでいた寮も同じということもあって、公私ともに仲が良かった。
山本さんは大学卒業後、社会人野球の東海理化(愛知)で3年間プレーし、昨年限りで現役を引退した。高校時代にプロ志望届を提出し、入団テストを受けたことがきっかけで大渕スカウト部長とつながりもあった。その縁で新たに日本ハムに加入することとなった。
山本さんの入団報告に薄いリアクション!?
進路決定後には金村に連絡を取り、日本ハム加入を報告した。その時のことを山本さんは「あいつは適当なので『え、マジ?』みたいな。めっちゃ(リアクションが)浅かった。いつから合流?みたいな」とジョーク混じりに振り返った。
金村は「最初に連絡をもらった時にはすごくびっくりして」と驚きと同時に喜びも感じていたという。「大学の僕の姿を知っているからこそ、ここが良くなったとか、そういう話を結構する。すごく良いと思っている。(大学時代の話をすることで)初心に戻れる」と先輩との再会を大いに喜んだ。
3月20日の自主トレで後輩の金村(右)と言葉を交わす山本ブルペン捕手
全幅の信頼を寄せる存在 金村「親しみやすい方」
主に2軍でブルペン捕手を務めているが、残留練習などで1軍に帯同する機会も少なくない。金村はもちろん、伊藤ら主力投手陣からの信頼も厚い。
金村はそんな山本さんの性格を「本当に『ザ・キャッチャー』というか。バッテリーを組んでも全部、包み込んでくれるし、本当に優しいので。最近は一緒に帰る機会もあるけど、良い意味であまり先輩という感じがしなくて、親しみやすい方。誰にでも優しいので、すごく話しやすい」と評する。
後輩の成長に感慨深げ 山本さん「勇気づけられる」
金村はプロ3年目を迎え、チームの開幕投手を任せられるまでの存在となった。そんな後輩の姿に山本さんは「大学卒業してからもテレビとかで活躍を見ていて、身近な人がそこまでになるのは勇気づけられるというか。夢の世界で知っている人が上り詰めるのは、不思議な感覚があります」と目を細める。

再び共闘する2人 目指すはもちろんリーグ優勝&日本一
開幕戦前には「本人は緊張していないと言っているけど、めっちゃ考えていていろいろ緊張していると思う」と、先輩はその心情を気遣っていたが、後輩はそんな心配を払拭する見事な完封劇を披露してくれた。
「去年2位になって、流れ的にも今年、優勝という感じなので。1年間、先発ローテでいって、金村の力で優勝してほしい」。形は違えど、再び共闘が始まった。ハッピーエンドが待っていることを信じて、2人は互いのステージで今シーズンを戦い抜く。
