《岩本勉のガン流F論》12球団で最も早く26年の開幕投手を言い渡されているかも
■パ・リーグ1回戦 日本ハム2-0西武(3月28日、ベルーナドーム)
確信した清宮のシーズン30本塁打
素晴らしいの一言。ファイターズが最高のスタートを切った。完封勝利の金村は置いておいて、まずは清ちゃん。七回に決勝弾となる先制ソロを右翼スタンドに運んだ。「狙い通りー」という声が放送に乗っていた。体に近いストレートをミスショットせずに捉えたのはさすがだ。この一発で確信した。シーズン30発はいける。
振り切ってもらいたい万波
逆に、ノーヒットに終わった万波に言いたい。2つの意味で振り切ってもらいたい。1つはバット。第1打席から迷いに迷っていた。今や各球団からマークされる存在。そう簡単には打たせてくれない。そこでこそ、振り切ったもらいたい。
もう1つは気持ち。自分の持っているエンジンの回転数をレッドゾーンまで振り切ってや! プロ野球は傾向と対策の繰り返し。なりふり構わず、自分のスイングを心がけてもらいたい。
理想的だった金村のピッチング
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
さあ、金村。一見、高めに見えるボールには力があり、打者をねじ伏せられていた。一方で、低めのボールは振らせる。ストレートは大胆に、変化球は慎重かつ丁寧に。理想的なピッチングだった。
西武の今井も責任を果たした。ただ、清宮への1球に見られたように〝ひょいっ〟と不用意に投げ込む瞬間があった。球持ちに欠けるボールは押し込みが足りない。金村にはそれがなかった。一球一球に体重移動から来る粘りがあり、甘いコースでもファウルが取れていた。
目頭が熱くなった25歳での初大役
25歳の年に任された大役。私も初めての開幕投手はプロ7年目で25歳の年だった。いい意味で怖いもの知らずでいけたのかもしれない。ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。打者一人一人に向かっていく金村の姿に目頭が熱くなった。
序盤は田宮のリードに身を委ねていたように見えた。だが、徐々にうなずきながらも「コースは変更してくれ」などと要求するように、互いに相談しながら事を進めているように映った。なんとも頼もしい。
味わってもらいたい達成感と充実感
初の大役。私の場合はオープニングゲームが雨で流れ、結果的に巡ってきたもの。金村は違う。しっかりと指名されてのマウンドだった。私は8回完投1失点でチームは0-1と敗れた。金村には最高の結果がついてきた。いや、自分の力でたぐり寄せた。
今夜は体が興奮しきっていて眠れないだろう。達成感と充実感をたっぷりと味わってもらいたい。
2026年の開幕投手も確定!?
もしかしたら、12球団で最も早く、今夜のうちに来年2026年の開幕投手を言い渡されているかもしれない。私も98年の開幕戦で完封勝利を果たし、その夜のうちに上田監督から「来年も頼む」と冗談交じりに言われたっけ。
真価が問われる次回登板
目の前に金村がいたなら声をかけたい。立派になったね。重圧に押しつぶされそうな地獄のようなオフをよく乗り越えた。
ただ、次こそ真価が問われる。開幕戦での完封。プレッシャーから解放され、一種の燃え尽き症候群に陥ってしまうケースがある。だからこそ、ハッパをかけたい。しっかりと疲れを癒やしながら、再び緊張感を持って次回登板に臨んでもらいたい。