福谷浩司 完璧リリーフで移籍後初マウンド初勝利 揺るがぬ心で新たな一歩
移籍後初勝利を飾った福谷=撮影・松本奈央
■パ・リーグ2回戦 日本ハム3-2西武(3月29日、ベルーナドーム)
九回に5番手登板 1回をパーフェクト投球
日本ハムの福谷浩司投手(34)が、九回にFA加入後初登板。3人でピシャリと抑えると、続く十回にチームが勝ち越し、うれしい〝ファイターズ1勝〟をマークした。
中日時代に通算278試合登板という豊富な経験を持つベテラン右腕が、プロ13年目で求めた新天地。刻んだ第一歩は、幸先の良いものとなった。
九回、5番手で登板した福谷=撮影・岩崎勝
〝福谷ワールド〟全開のヒーローインタビュー
「勝ったのはうれしいですけど。僕じゃないですよね、ヒーロー(笑)」
敵地まで駆け付けた大勢のファイターズファンが見守る中でのヒーローインタビュー。独特なキャラクターを持つ福谷は、そんな自虐混じりの第一声を放った。だが、チームの開幕2連勝に大きく貢献したのは間違いない。
バックの堅守に感謝 「あれに尽きると思う」
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F戦士として迎えた初舞台は同点の九回に訪れた。サヨナラでの今季初勝利を狙う西武打線と向き合った福谷に、いきなりピンチが襲いかかった。先頭の古賀悠へ投じた3球目。はじき返された打球は、外野に抜けようかという痛烈な当たりとなった。これを上川畑が逆シングルで好捕し、二ゴロに。先頭打者の出塁を許さなかった。
「きょうはもう大悟のプレー。あれに尽きると思うし、感謝してもしきれないぐらいのプレーだった」。この好守でリズムに乗ると、終わってみれば打者3人に対し、わずか9球での完璧リリーフを披露。試合の流れを自軍へと引き寄せて、十回の勝ち越し劇へとつなげてみせた。「チームが2連勝できたことが一番うれしい。自分の勝ちはびっくりしたけど、本当に勝てて良かった」

経験豊富なプロ13年目
オフに12年間プレーした中日から、FAで日本ハムに加入した。新天地でシーズンを迎えたが、気負わずマイペースを貫いている。
開幕戦当日、開幕への思いを問われても「正直言うと、こういう取材がなければ、あまり開幕というイメージはないです。練習をしていても、オープン戦の頃と変わったのかなというところはあまりなくて。いろいろなイベントがあったり、メディアの方がたくさん来ていて『あっ、開幕なんだな』というくらいで。やっていることはそんな変わらないですね」と飄々(ひょうひょう)と答えた。多少のことでは揺るがない。強い気持ちを持ち合わせている。
気付かなかった勝利の権利 「俺?みたいな(笑)」
上川畑の勝ち越しタイムリーはロッカーで見守っていた。しばらくの間、自身に勝ち投手の権利が舞い込んできたことに気付いていなかったそうだ。
「全然、気付かなかった。最後、(田中)正義が投げて、2アウトでロッカーから降りていった時に、後ろから誰かに『勝ち投手ですよ』って言われて、『俺?』みたいな(笑)」
九回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る福谷(右)
節目の1勝は通過点
新天地で手にした1勝。もちろんこれだけで満足することはない。
「とりあえずは初登板でそれなりの形になった。ここからスタートなので。ここで終わりではないし、おごることなく謙虚に、しっかりあしたからやっていきたい」。日本ハムに新たに加わった背番号41が、これからもチームの勝利のために、己の持てる力を注いでいく。