エース伊藤大海を支える「カジさん」の存在 入団時からキャッチボール相手「けがされたら困ります」
伊藤(手前)が絶大な信頼を寄せるブルペン捕手の梶原さん
■パ・リーグ1回戦 日本ハム5-2楽天(4月8日、楽天モバイルパーク宮城)
道産子エースが全幅の信頼を寄せる
日本ハムの伊藤大海投手(27)が8日に行われた楽天戦に先発し、二回に浅村の先制2ランは許したものの打線の援護もあって逆転に成功。9回を投げきり、4安打2失点13奪三振と圧巻のピッチングを見せた。
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チームの連敗を止めた道産子エースには、かけがえのない〝パートナー〟がいる。入団時からずっとキャッチボールの相手を務めてきたブルペン捕手の梶原有司さん(40)だ。今年1月には自主トレを手伝ってもらうなど、「けがされたら困ります」と絶大な信頼を寄せる。

今でも記憶に残る律儀な姿勢
伊藤がプロ入りした2021年、梶原さんは上沢(現ソフトバンク)のキャッチボール相手でもあった。その当時のことを懐かしそうに振り返る。
「生え抜きの右ピッチャーでエースは上沢がいた。大海が入ってきた頃、アイツは律義なので『上沢さん、もうやりました?』『上沢さんの後、お願いします』って感じで。上沢を立てるところがあった」。先輩右腕がキャッチボールを終えてから、ボールを受けてもらうのが日課だった。
2人の距離を縮めた国際大会
2023年2月名護キャンプ、WBC日本代表合宿に出発する伊藤(左)が梶原ブルペン捕手と共に激励の花束をもらう
2度の国際大会を経て、2人の距離はより縮まった。伊藤はルーキーイヤーに行われた東京五輪で追加招集され、金メダル獲得に貢献。23年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも、侍ジャパンの一員として世界一に輝いた。
梶原さんもブルペン捕手として日本代表に帯同し、「国際大会で毎日、一緒にいた。同じチームだと親近感は湧きますよね」。自然と何でも言い合える仲になっていった。
ダルビッシュ有や大谷の相手も
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梶原さんは2010年にブルペン捕手として日本ハムに入団し、今年で16年目。武田久(現1軍投手コーチ)にかわいがられ、ダルビッシュ有(現パドレス)、大谷(現ドジャース)ら名だたる投手のボールを受けてきた。経験豊富なベテランキャッチャーは、伊藤にとって頼れる存在だ。
「(過去)そうそうたるピッチャーを受けてきている。カジさんは、良いのも悪いのもハッキリ言ってくれるんですよ。ズバズバ言ってくれる。僕も調子が悪かろうが、良かろうがハッキリ言ってくれた方がいい。ブルペン捕手の方々は、やっぱり気を使うじゃないですか。良い時も悪い時も知ってくれている。自分で悪いのを気付かずに進んじゃうより、言ってくれた方がいい。僕はめちゃくちゃ助かっています」
今年1月28日、名護での先乗り自主トレで梶原ブルペン捕手(右)を相手に投球した伊藤
うそをつけない体 梶原さん「思ったことを伝えないと」
そんな右腕の思いをくみ取り、梶原さん自身も素直な感想を述べてきた。
「どうですか? こうですか? とかいろいろ聞いてきてくれる方だと思うので、僕も正直に答えています。聞かれた時しか言わないですけど、本当に調子が悪い時は自分が思ったことを伝えないと。うそをつけない体になっています(笑)。毎日、キャッチボールをしているから、感覚は合うことが多いです」

一球一球に存在する意図
今年1月には、伊藤から頼まれて、エスコンでの自主トレを手伝った。金村、根本、松本遼ら後輩たちへアドバイスを送る姿に「お兄ちゃん気質。面倒見が良いところがある」
優しさに触れた一方、真剣に野球と向き合う姿勢も間近で見てきた。「大海って、野球に対して真面目ですから。キャッチボールでも、当たり前ですけど手を抜かない。キャッチボールの一球にしても、一球一球うまくなりたいとか、もっとこうしようとか。そういうのはすごく感じますね。適当に投げる一球を感じたことがないです。一球一球、意図があるだろうな。受けたら感じるんですよ」

いつも胸の中にある感謝の思い
キャッチボールを通して育んできた2人の絆は固い。
「(お礼に)ゴルフチケットくらいあげないとですね」。伊藤はそう言って、はにかんだ。
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