《岩本勉のガン流F論》待ちに待っていたフレーズがベンチに響いているはず。「野村に回せ!」
■パ・リーグ1回戦 ソフトバンク5-1日本ハム(4月1日、エスコンフィールド北海道)
近藤の穴を感じさせないソフトバンク
やはり、ソフトバンクは強い。中継ぎ陣が打たれ、開幕3連敗を喫したが、この日は松本裕、オスナと万全のリリーフを見せた。打線も強力で、近ちゃん(元日本ハムの近藤)の穴をまったく感じさせない。
敗戦の中にも光明 山本拓と杉浦のピッチング
ただ、日本ハムにも光明はあった。西武との3連戦で失点していた山本拓が2回を無安打無失点に抑えた。これぞ山本拓というピッチングを披露した。
小柄だが、ダイナミックな投球と配球が最大の持ち味。それが西武戦ではこぢんまりしたピッチングになっていた。この日、山本拓の後を受け、1回をパーフェクトに抑えた杉浦にも言えることだ。
パフォーマンスに影響を与えるプレッシャー
やはりプレッシャーが与える影響は大きい。それを再認識した。山本拓、杉浦とも、西武戦ではリードした場面でマウンドに上がった。勝たなければいけない。このままリードを保たなければという重圧がのしかかる。だからこそ、セットアッパーは過酷であり、貴重なのだ。プレッシャーが比較的、少なかったこの日の登板で、自分の投球を再確認してくれたはずだ。
持ち味がなりを潜めた伊藤の投球
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さあ、伊藤。反省点は明確だ。特長の慎重かつ大胆なピッチングがなりを潜め、大ざっぱな投球に終始してしまっていた。困ったら、強いボールでファウルを取ろうとし、痛打された。
えいやー!で放ったボールは球離れが早く、見極められてしまう。立ち上がりから雑で、根気のない投球だった。逆球も多かった。これではアンパイアのジャッジにも嫌われてしまう。
心強かったトレンディーエースの一言
反省点は本人が一番、分かっている。本人次第ではあるが、切り替えやすい。2桁勝つ力は十分にあるのだから。
私も初めて開幕投手を任された1996年にスタートから2連敗した。それでもそこから立て直し、勝利数を初の2桁に乗せることができた。2連敗した際、当時、エースだった西崎さんから言われた。「シーズン、どんだけ長いねん!」。先輩からの一言で目の前が晴れた。伊藤の次回登板に期待したい。
今、最も頼りになる野村
そして野村ジェイ。こちらも光明だ。今、一番頼りになる存在だろう。二回に先頭で、モイネロから打った一発。カウント2-2から決め球のスライダーをレフトスタンドまで運んだ。体勢を崩されたように見えても、バッティングは決して崩されない。ボールがよく見えており、反応できている証拠だ。
西武との3回戦でかっ飛ばした2連発同様にインパクトは大きかった。ベンチでは今、待ちに待ったフレーズがこだましていることだろう。「野村に回せ!」。ファンも待っていたはずや! エスコンでのシーズン1本目が4番の一撃。さあ、チームも切り替えていこう!