《鶴岡慎也のツルのひと声》負け試合に見たファイターズの強さ 増井さんとの思い出も
■パ・リーグ1回戦 オリックス4-3日本ハム(4月4日、エスコンフィールド北海道)
抜群の出来を見せた宮城から3得点
負けた。それでも今年のファイターズはやっぱり強い。そんな印象を十分に与えてくれた。オリックスの先発・宮城は抜群の出来だった。そこに来て、三回に3点を先制された。厳しい展開となったのだが、ただでは終わらなかった。レイエスと吉田の一発。そして終盤八回に万波の適時二塁打で1点差に詰め寄った。
チェンジアップ対策をしてきたオリックス打線
福也(山崎)にしてもそうだ。負け投手になった。それでも長年コンビを組んできた伏見とのバッテリーはやはり素晴らしいと再認識させてくれた。
彼の最大の武器は魔球・チェンジアップ。それがオリックス打線に研究されていた。随所でその生命線とも言うべきボールをはじき返された。オリックスから移籍し2年目。相手はしっかりと対策してきた。
引き出しの多さを披露した〝さちとらバッテリー〟
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ただ、〝さちとらバッテリー〟はここからが見事だった。普通ならば、ガタガタと崩れるところ。チェンジアップから一転、ツーシームやフォークを軸にゲームメークし直した。切り替えの早さと引き出しの多さ。失点は三回のみで、その後の3回を無失点で切り抜けた。さすがだった。
たとえ相手が絶対的なエースを先発マウンドに送ってきても、一方的な試合には決してならない。投打とも、そんな強さを感じさせてくれた。
増井さんのファイナルピッチセレモニーで女房役
試合前、感慨深いシーンもあった。日本ハムで8年、オリックスで5年。2022年シーズン限りでユニホームを脱いだ増井さんのファイナルピッチセレモニーが行われた。私は女房役を務めさせていただいた。
増井さんとダルビッシュのおかげでブロッキング上達
増井浩俊。実に不思議なピッチャーだった。マウンド上では常にポーカーフェース。サインには一切、首を振らない。マスクをかぶっている私も何を考えているか分からないことが多かった。先発でもセットアッパーでも、クローザーでも。あらゆるポジションでボールを受けてきた。ストレートもフォークもチェンジアップも、しっかりと強く腕を振る。ピッチャーにとって、この思い切りの良い腕の振りこそがいかに大切か。それを分からせてくれた。
ベースのかなり手前でワンバウンドするボール。彼のフォークとダルビッシュのスライダーのおかげで、ブロッキングが上達した。
忘れられないシーン 「全然、ヘコんでないやん!」
忘れられないエピソードもある。いつだったか、シーズンは覚えていないが、西武戦だった。連日、彼が打たれるシーンがあった。そこで次の日の試合前、落ち込んでいるはずの彼に言った。「思い切ってこいよ!」。10分ぐらい真剣に話し、鼓舞したつもりだった。でも次の瞬間、ほかの投手陣に向かって、甲高い声で「いやぁ、防御率が上がっちゃっいましたよぉ」
「全然、ヘコんでないやん!」「俺が話した10分間はなんだったんだ!」。そう心の中で叫んだことを覚えている。
肉体の強さとタフなメンタル
何がすごいって。この切り替え。長いペナントレース。いちいち沈んでなんかいられない。終わってみれば、ホールド、セーブともに150を超えた。
肉体的な強さとメンタルのタフさが、なせる技。この2つは投手にとって、特にリリーバーにとっては必要不可欠。それを見事に併せ持つ素晴らしい投手だった。