【連載コラム】マシンガンズ西堀のそぞろ歩き⑰ 〝Mr. THE SECOND〟が面白いと思ったヤツら
新橋駅周辺で西日を浴びたたずむ西堀=撮影・小田岳史
今の時代に仕事をするということ
我々の仕事だとあんまりピンとこないけど、新年度が始まったな~。お金の作業をあんまり自分たちでするわけでもないし、全く実感がない(笑)。本当に、芸人は世間からズレてるよね。
太田プロにも新卒の社会人が入ってきたよ。今の時代ね、これから会社勤めする人って、入った先がその人の最後の職場にはならない可能性ってすごく高いと思う。だから、あんまり仕事に対して最初から気合を入れちゃうと、それがその人のベースになって、調子が悪くなってきたなって思ったとしても、そこまで引き上げなきゃいけなくなっちゃうからさ。あまり最初から無理して気持ちを入れすぎないようにしてほしいよ。
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仕事を変えたって死なないしさ。昔みたいに会社が潰れないっていう保証もないし。昔は好きだと思えることを仕事にしない方がいいっていう人もいたけど、やっぱり好きなことを仕事にした方がいいよね。もっと給料が欲しいなと思ったとしても、働いている時間が嫌じゃない方がいいからさ。

やる人生と、やらなかった人生
俺が芸人を始める前は、バイトしていたところにそのまま働くことになっていたから、入社式とかもなかったな。気持ちのどっかで、札幌でこういう風に働いていく人生なのかな、ってのも少しはあったかも。それでも芸人をやってみようと思えたのは、何も背負ってなかったからかな。もしも自分に奥さんがいたり、子供がいたりすると、なかなかできない部分もあったかもしれないな。
でも結局、どの道を通っても最後はみんな「これで良かったんだな」って言うんだと思う。上を目指していくようなことを「やらなかったら一生後悔する」っていう人もいるけど、「やったらできなかった」ということもいっぱいあるはずだから。いずれにしても、その仕事が向いているか向いてないかを10代とか20代前半で決めるのは難しいよな。

見取り図の方が大変だったろうな
次は俺たちの話。THE SECONDの開幕戦ノックアウトステージ32→16、見取り図を破って無事に勝ち上がれました! 点数も295点の高得点が出てびっくりしたよ。見取り図の方が状況的には大変だったろうな。誰もが知っていて、M-1グランプリにも出てる実力派だし、ハードルが高くなってたから。俺たちは行き当たりばったり芸みたいなところもあるけど、点数が高かったってことは「パワーは落ちてねぇぞ」ってことを誇示できたんじゃないかな。
相方の挙動で「スン!」となるとき THE SECONDの優勝候補は…
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滝沢がすごい掛かっていたのが結果的に良かった(笑)。何か不思議なもんで、片っぽが掛かっていると、片っぽは「スン!」って冷めるんだよ。今まで2人でバーッとツッコんでいたのを、今回は俺がたしなめ役になったけど、あれも普段からやっているパターンの一つでもあったから、こっちはあんまり違和感なくできたし、ちょっと変わったなって思ってくれた人が多かったかもしれない。
ここ何回かで学んだのは、あんまり気持ちが入っててもダメなんだよね、ってこと。お笑いって本人が緊張してると、気持ちが透けて見えちゃう。意外とその小さい機微って、見ている人には分かるんだよね。でも、ちょっとは掛かってないとね、気持ちが乗らない難しさもあるから。それにしても、俺らは会場のお客さんをイジりながらの295点だったけど、囲碁将棋はストレートに297点だもんな~。恐るべき得点だよ。囲碁将棋が優勝候補なのは変わらないな。何はともあれ、勝てて良かった~!

漫才を真剣に審査すると
予選を通して、去年や一昨年よりも割とお客さんがしっかりと漫才を審査しに来ている感じを受けた。やっている側からすると軽い現場ではなかったし、お客さんが点数を付けて、さらにコメントまで求められるシステムだから、否応なしに場の緊張感をあおってるよね。芸人に付けた点数に責任の所在をはっきりさせる、今までになかったスタイルで、何となくの好き嫌いは許さないというか…。トーナメント形式になっていることも、対戦する相手と芸が似ていたら損だし、自分たちでコントロールできないクジ引きの運も大事だよねってすごく感じる。
全組を見た中で爪痕を残した芸人
開幕戦ノックアウトステージ32→16は全組のを見たけど、チャーミングが印象に残ったな。やっている形とかパッケージの差こそあれ、内容的にはマシンガンズとほぼ一緒。あそこまで裸になると気持ちいい。「金とか女より、おいしいものが食べたい!」って、めっちゃ笑ったよ。しかもネタに嘘がない。予選会でも結構、爪痕を残していたし、何かTHE SECONDの空気にも合っていた気がしたんだけど、相手もヘンダーソンだったからね~。
タモンズに負けちゃったけど、ツーナッカンも良かった。我々と一緒で本気になったのがここ数年、っていうところが(笑)。偉そうに言うのもあれだけど、ツーナッカンなんか見ていると、まだ成長期って感じがするんだよね。やればやるほど味が変わってくる感じがある。まだベストな形を模索しているような気もするんだよな。

ザ・ぼんち師匠は面白すぎた
モグライダーも負けたもんな。ネタは見たけど、ザ・ぼんち師匠が面白すぎた(笑)。レイザーラモンさんも、吉田たちも面白かった。まぁ、みんなここまで残ってるんだから全員面白いんだよ! イチ観客からしたら、ノックアウトステージ16→8は良いカードが続くね。金属バットvsリニアとか、ななまがりvsツートライブとかさ。どういう判定になるんだろう。
俺たちは4月19日に祇園と戦ってくる。祇園対策は今のところ何もないけど(笑)、グランプリファイナルには絶対に残りますよっ!
