柳川大晟 レジェンド左腕の金言で再起 忘れられない2人っきりの時間
七回、3番手で今季初登板を果たした柳川=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ2回戦 日本ハム8―2楽天(4月9日、楽天モバイルパーク宮城)
今季初登板でホールドをマーク
日本ハムの柳川大晟投手(21)が今季初登板を果たし、チームの勝利に貢献した。4-1の七回に3番手で登板。先頭に四球を与えるも、続く9番の渡辺佳を一直に抑え、一走が戻れずにダブルプレー。走者がなくなったところで、1番の村林を空振り三振に切って取り、1回を無安打無失点に封じた。
レジェンド左腕の粋な計らい
柳川には忘れられない日がある。昨年9月1日の西武戦(ベルーナドーム)後、これまで「普通の会話ぐらい」しかしていなかった宮西から、突然「あした、行くぞ」と初めて食事に誘われた。
実はこの日、柳川はセーブシチュエーションで救援に失敗していた。2点リードの九回に登板するも、2死満塁から押し出しで1点差に迫られ、マウンドを降りた。そのまま、チームはサヨナラ負けを喫した。失意のタイミングを見計らった、大先輩からの粋な誘いだった。

貴重すぎる時間 「録音しておけばよかった」
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次の日、福岡に移動後、宮西が行きつけにしている居酒屋に向かった。焼き鳥を食べながら、示唆に富んだ話をたっぷり聞かせてももらった。
「うれしかったですし、2人でだったので、緊張もしました(笑)。もう、ずっと野球の話をしていて。打たれた試合のことは、逆に最後、押し出しだったことを褒めてくれました。押し出しで、まだ1点差だったので、『点を取られても最悪、同点でいいから。あの場面の押し出しは間違っていなかった』みたいな感じのことを言ってくれて、感動しました。ほかにも、去年はずっとウエートトレーニングのタイミングをどうすればいいのかで苦しんでいたので、そのことも教えてもらいました。宮さんの今までやってきた10何年間のこととか、いろいろ聞かせてもらって、もうなんか全部、良い話すぎて、録音しておけばよかったんじゃないかなと思いました(笑)」
七回を無失点に抑え、ベンチに戻る柳川
体のケアについてもアドバイス
昨年は5月に支配下昇格を果たし、何もかもが初めての経験だった。8セーブを挙げたが、知らず知らずのうちに疲労もたまり、ケアの重要性を再認識した。頼りになったのは、やはり宮西だった。
「(ケアについて)『何かやっている?』みたいに聞いてくれて、どんなことをしたらいいか分からないです、みたいに言ったら、いろいろ教えてくれました。『いったん、試してみれば』みたいな感じで、宮さんがやっている方法を試させてもらったり。すぐに(1軍登録を)抹消されてしまって、1回しかやれなかったんですけど、気にしていただいてありがたいです」と感謝の気持ちでいっぱいだ。
心に誓った恩返しの〝共投〟
目をかけてもらったからには、結果で恩返しをするしかない。
「あんまり宮さんと同じ試合で投げたことがないので、これからはいっぱい一緒に投げて、試合に勝てたらうれしいです」。心の中に録音した数々の金言を大切にしながら、偉大な先輩の背中を追う。
試合終了後、新庄監督(左)とタッチを交わす柳川(中央)