《岩本勉のガン流F論》ピッチャーは繊細な生き物 加藤貴と柳川の好投で再認識
■パ・リーグ2回戦 日本ハム8-2楽天(4月9日、楽天モバイルパーク宮城)
バランスの良い点の取り方
快勝と言ってもいい試合だった。まずは打線に触れたい。17安打は当然ながら、評価すべきは連打で得点を奪えているということ。五回には3連打。八回には5連打だ。しかも上位、下位とも、打線に名を連ねた選手がホームを踏んだ。バランス良く得点できている証拠だ。寒い仙台で実に元気がいい。日本ハム打線は今、活発と言える。
大爆発が待たれる清宮、万波、野村
ただ、満足はしたくない。この日、先制の本塁打を放った万波も含め、清宮に野村を加えた3人。先頭に立ってチームを引っ張っていかなければならない3選手の大爆発が待たれる。
清宮も打点は稼げてはいる。万波も打率こそ低いが、ホームランが出ているうちは絶不調に陥ることはない。だが、3人とも、こんなもんやないで! もっている能力はいずれも素晴らしい。だからこそ、さらなる活躍に期待したい。
神経質になってあげた新庄監督と投手コーチ
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さあ、投手。先発の加藤貴は六回途中1失点で今季初勝利を飾った。トータル70球で六回1死を取った場面での降板。普通なら当然、最低でも七回まではマウンドに立っていてもらいたい。
だが、一回に伊藤の打球を右手に当てていた。利き手ではない右手。されど右手なのだ。ピッチャーはしっかりとグラブを中で握っている。ボールが当たった箇所の状態は定かではないが、長いイニングを投げ進めることでバランスを崩してしまう可能性もある。監督、投手コーチが神経質になってあげたのだろう。
勝つためのレールを敷ける左腕
状態は決して良くはなかった。それでも試合に勝つためのレールを敷く。さすがはベテランといったところか。奪三振は1つだが、無四球。のらりくらりと加藤貴らしさを発揮してくれた。
2死を取る前後で別人だった柳川
もう1人、触れたい。今季初登板した柳川だ。七回に3番手で登板した。先頭の代打・武藤を四球でいきなり歩かせたが、続く渡辺佳を一直併殺に打ち取った。これが大きかった。3人目の1番・村林は空振り三振に仕留めた。
フワフワした立ち上がりが一転、ダブルプレーが実に大きかった。2死後はまるで別人。シルエットを見たら、ピッチャーが交代したのか!?と目を疑うほどだった。
大切な心と体のバランス
加藤貴と柳川を見ていて再認識した。やはりピッチャーとは繊細な生き物だ。体のバランス、心のバランスともに大事なのだ。すべてはピッチャーから始まる。止まったボールに力を与え、野球というゲームを動かすのだから当然だ。
現役時代、3~4つのグラブを持参したガンちゃん
私も現役時代、そうだった。大量の汗をかくため、グラブが傷む。これこそ、神経質なのかもしれないが、3~4つは常にグラブを携えていた。汗をかいたら交換し、3~4つをローテーションで使用していた。次戦の先発は北山。心と体のバランスを整え、好投してもらいたい。