松本剛 勇気振り絞り極限の状況で盗塁成功 悔しいベンチスタートも「やれることはある」
延長十二回2死一塁、松本剛(右)が盗塁を決める=撮影・松本奈央
■パ・リーグ4回戦 西武0-2日本ハム(4月11日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの松本剛外野手(31)が11日、エスコンフィールド北海道で行われた西武戦の延長十二回に代走で出場し、2死から盗塁を成功させた。失敗すればゲームセットとなる極限の状況で仕掛けた一手。勇気あふれる決断が間接的に、劇的なサヨナラ勝ちを呼び込んだ。
「スタートは完璧でした」
昨季、チームトップ20盗塁を記録した足と頭脳が生きた。スタートを切るか、切らないか、判断は任されていた。特大の重圧が掛かるシーンで、リスクを恐れず、攻めを選択。甲斐野が郡司に投じた2球目、スタートを切った。確信はあった。「スタートは完璧でした。完璧じゃない限り、(スタートを)切ろうとはしていなかった。迷いはなかったです。あとはキャッチャーとの勝負だなと思って。良かったです、試合を終わらせなくて」
延長十二回2死一塁、代走の松本剛(左)
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この日はスタメンを外れた。必要とされる場面を想定し、集中力を高めていた。置かれた状況を冷静に整理し「どこでも代走に行く(可能性がある)と言われていました。郡司が代打で行って、走れたら外野が前に来るということだけは頭にあった。3球以内に勝負できたら行こうと思いました」と明かした。
「失敗したら代田さんのせいなんでよろしく」冗談に隠した本音は…
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互いに神経をすり減らすような展開だった。ベンチ裏では、こんなやりとりもあった。「代田(データ分析担当兼走塁)コーチが『代走行くよ。出たら思いきって行こう』と言ってくれた。じゃあ、失敗したら代田さんのせいなんでよろしくお願いしますと(笑)。失敗したら代田さんが走って良いって言いましたと(弁解するつもりで)行きました」。盗塁を成功させたことで、冗談交じりに振り返ったが、本音は違う。「今年一番緊張しました、本当に」と、小さく息を吐いた。
延長十二回、二盗に成功する松本剛(右)=撮影・岩崎勝
指揮官絶賛「勇気がいりますよ、あれは」
実際に走者一塁と二塁では、相手に掛かるプレッシャーが全く異なる。外野は前進守備となり、打者目線に立つと、ヒットゾーンは広がる。試合後、新庄監督は「勇気がいりますよ、あれは。前進守備になって、郡司くんの気持ちが楽になったかもしれない」と手放しで褒めた。
今季、松本剛のスタメン出場はわずか5試合。打率は.150にとどまっている。矢沢、吉田の台頭もあり、右翼の万波以外、外野は固定されていない。自身が置かれた状況は理解している。「スタメンで出ることが一番ですし、出られない悔しさもスタメン表を見る度に感じますけど、それは自分の責任ですし、後ろからやれることは少なからずあると思う。今は足か守備か。代打ももちろんありますけど、優先順位でいったらそういう感じになってくる。本当は打席に立ちたいですけど、そこは客観的に見つつ、良い準備ができたらなと思います」
チームに貢献する武器 足も守備も
2022年に首位打者を獲得しても「足と守備にスランプはない」と高い水準の守備、走塁にこだわってきた。長い下積みも経験した選手会長は、仮に打てなくても、チームに貢献する手段を持ち合わせている。
