《岩本勉のガン流F論》金村への注文は必殺技の精度アップ 思い出す柴田保光さんの投球
■パ・リーグ5回戦 西武2-1日本ハム(4月12日、エスコンフィールド北海道)
めちゃくちゃ評価できるピッチング
敗れはしたが、金村が見事なピッチングを披露した。先発して毎回 、走者を背負った。マウンドに立っていた6イニングのうち、実に5回、得点圏にランナーを進められた。それでも西武に得点を与えなかった。勝てなかった。ただ、めちゃくちゃ評価できる。
落ち着いていたブルペン
調子自体は決して良くなかった。だが、伏見のリードに一球一球、丁寧に応えた。首脳陣の信頼もうかがえた。何度もピンチを迎えたものの、ブルペンはそれほどバタバタしていなかった。粘ることができるだろう―。そんなベンチのもくろみがあったはずだ。苦しみながらもその期待に応えた。
隅田から学ぶべきこと
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一方、西武の先発・隅田は抜群のピッチングを見せた。ギアチェンジせずとも、初球に決め球とも言える強いストレートを投げ込んでくるなど、強弱をつけた投球は見事だった。金村は、まだまだ伸びしろ十分な24歳。相手先発の隅田から強弱とは何かを学ぶことができただろう。
ノーヒッター右腕の記憶
もう一つ、〝必殺技〟の精度を上げなくてはいけない。金村の必殺技とは右打者のインコースに投げ込むツーシーム。この武器の収まりが悪く、苦労した。今後、このボールの整備を徹底してもらいたい。
必殺技は自らを助ける。私も若い頃、先輩右腕から必殺技の重要性を学ばせてもらった。ノーヒットノーランの経験もある柴田保光さんだ。あるゲーム、2死満塁で左打者に対して3ボールとした。そこから柴田さんは代名詞でもあるシュートをアウトコースに3つ。ストライクゾーンぎりぎりにコントロールされた伝家の宝刀で打者をねじ伏せた。
今でも目に焼き付いている光景。いつでも自信を持って投げ込める必殺技を持っておきたい。金村への注文といったところか。
驚異的な粘りを見せた打線
打線にも触れたい。隅田の前に沈黙したが、ラスト九回に平良を攻めて驚異的な粘りを見せた。1点差に詰め寄り、同点、逆転の可能性も見せた。状態はいい。次戦にしっかりと切り替えられる。