金村尚真 苦しみながらも粘りの投球で6回無失点 にじむ主戦投手としての自覚
6回無失点と粘投した金村=撮影・松本奈央
■パ・リーグ5回戦 西武2-1日本ハム(4月12日、エスコンフィールド北海道)
苦心のマウンドも価値ある粘投
日本ハムの金村尚真投手(24)が先発マウンドに上がり、6回無失点と粘りの投球を見せた。3者凡退のイニングはなく、6イニングで5度も得点圏に走者を背負う投球となったが、生還だけは許さなかった。
苦心の投球でも無失点で終えたことに価値はある。今季、開幕投手を任された3年目右腕は、エースへの階段を1歩ずつ上がろうとしている。
前回の反省を生かす投球を披露
三回終了時点での投球数は70球。制球力の高い金村が3四球を与えるなど、苦しい投球だったのは、数字でも明白だった。毎回のように走者を得点圏に進められるピンチの連続。「なかなかリズムに乗ることができませんでしたし、決め球を一発で決められないっていうのが多かった。やっぱり決めきれないところが課題」と振り返った。だが、ホームベースだけは踏ませなかった。
前回登板した4月5日のオリックス戦では一回に3失点と簡単に先制点を許し、四回にも2失点を喫する4回5失点の投球だっただけに、同じ轍(てつ)は踏まなかった。
五回、西武・平沼を三ゴロに打ち取り、笑顔を見せる金村
徐々にテンポアップ 女房役には感謝しきり
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ただ、四回以降は走者を背負いながらではあったが、15球、16球、10球とテンポは上がった。111球を投げ、6回無失点と試合はつくった。
「コースを狙いすぎているなって感じた。ゾーンは多少、甘くてもいいので、カウントが悪くなって打たれるっていうのが一番ダメ。最初は真ん中で、徐々に広げていくみたいな感じでいった方がいいのかなっていうのを感じた」と、自分の中での制球のハードルを下げたことが功を奏した。そして「きょうは(伏見)寅威さんのリードが良かったですし、その通りに投げただけだったので、本当にきょうは寅威さんのおかげかなと思います」。2年ぶりに先発バッテリーを組んだ女房役に感謝した。

常に背負う結果責任
試合後のコメントで「毎回、ランナーを出してしまい、チームに流れを引き寄せられませんでした」と敗戦の責任を背負うのも、主戦投手としての自覚だ。
本格的に先発ローテーションで回った昨季、思ったように白星が付いてこなかった5月に中継ぎから配置転換された。先発でのシーズン初勝利を挙げたのは8度目のマウンドだった。好投しながら打線の援護がない登板が続いても「投げきれていない僕の責任」と自らを責めた。昨年6月15日の巨人戦(エスコン)では八回まで無失点と好投するも、九回に岡本に決勝2ランを浴び、敗戦投手となった。その際も「あそこで投げきれないのは、まだまだ」と唇をかんでいた。

進化を示した粘りのピッチング
そういった悔しさを糧にしてつかんだ開幕戦での完封勝利。エースにつながる階段を1つ上がったことを示した。そして、この日は本調子ではない中でもスコアボードにゼロを並べ、先発投手としての仕事を全うした。
当然、自身も納得のいく登板ではなかっただろうが、この粘りこそが背番号24の進化かもしれない。
五回を無失点に抑え、笑顔でベンチに戻る金村