生田目翼 アクシデントを乗り越えて魂の0封 開幕2軍の悔しさ力に変えて
六回、西武・源田の打球が左膝に当たり、倒れ込む生田目=撮影・松本奈央
■パ・リーグ6回戦 西武7-2日本ハム(4月13日、エスコンフィールド北海道)
見事な火消しでトータル1回⅓を無失点
日本ハムの生田目翼投手(30)が五回途中から3番手で登板した。2死二塁のピンチで後続を断ち切るなど、1回⅓を無失点に抑えた。
六回には打球が左膝に当たるアクシデントもあったが、逆境をはね除けて、無失点試合を「3」まで伸ばした。
打球直撃も直後に軽快なフィールディング
その瞬間、エスコンフィールド北海道に詰めかけた3万人を超える観衆が息をのんだ。六回、西武の先頭・源田の打球が、生田目の左膝に直撃。生田目はその場に倒れ込み、しばらく起き上がることができなかった。続投が危ぶまれたが、治療を受けた背番号13が再びグラウンドに姿を現すと、球場内には安堵の拍手が大きく鳴り響いた。
六回、西武・源田の打球が左膝に当たり、倒れ込む生田目
「(一度ベンチに)下がって、また出てきた時に、もちろんファイターズファンからも拍手をいただきましたけど、西武ファンの方からも拍手をいただいて。すごいうれしかったです」。その応援に応えるかのように、続く長谷川の投ゴロを、軽快なフィールディングでさばいて併殺を完成。結果的に3人でこの回を終えて、チームのムードを盛り上げた。幸い大事には至らなかったようで、試合後には「当たった瞬間は痛かったんですけど、全然、大丈夫です」と無事をアピールした。
六回無死一塁、西武・長谷川の投ゴロを捕球し、併殺に取った生田目=撮影・岩崎勝
助け合うリリーフ陣
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
昨季43試合に登板したリリーバーがブルペン陣の思いを背負ってマウンドで躍動した。五回には、2イニング目に入っていた福谷が西武打線につかまり、4失点を喫したところで生田目にスイッチ。二塁に走者を背負った状況での登板となったが、「福さんの(出した)ランナーだったので、かえさないようにと思っていました」と、一ゴロに切って取り、それ以上の失点は許さなかった。
五回途中に登板した生田目(左)が新庄監督に声をかけられ、笑顔を見せる
熟知するスクランブル登板の難しさ
そして六回に打球を左膝に受けた後も、「(新たな)中継ぎピッチャーを、さすがにあそこで行かせるわけにはいかなかった。(イニング途中から投げることの)その気持ちも僕は分かるので、なんとか今回はしっかり抑えようという気持ちでした」と続投を決意。状態を案ずる加藤コーチに無事を伝えて再びマウンドに上がると、後続を抑え、スコアボードに「0」を刻んだ。

今季ここまで3試合で防御率0.00
昨年は1軍でシーズンを完走したものの、今季は層の厚いリリーフ陣の争いから抜け出せず、開幕は2軍でスタートした。
「めちゃめちゃ悔しかったですけど、すぐ呼んでいただけるようにと、準備をしていた」。その言葉通り、今月6日に1軍昇格を果たすと、以降の3試合ではすべて相手を0封。許した安打もこの日の源田の内野安打1本のみと、ほぼパーフェクトと言える投球を披露している。
六回無死一塁、西武・長谷川の投ゴロを捕球し、併殺に取った生田目がガッツポーズ
ブルペンに不可欠な存在へ 「なんとか、しがみ付いていく」
「しっかり結果を残さないといけないので。開幕も1軍ではなかったので、なんとか、しがみ付いていって。まだまだ頑張ります」。1軍で戦えないことの悔しさ、そして1軍で戦うことの喜びをあらためて味わった7年目右腕。今後も日本ハム投手陣を支えていく。
六回を無失点に抑え、ほえながらベンチに戻る生田目(中央)