ママさんハードラー寺田明日香が〝F新庄式引退〟表明 9月の世界選手権を集大成に 清宮親子もエール
日本ハム清宮のバットを父・克幸さん(左)から贈呈された寺田明日香(中央)=撮影・金田翔
競技者としての第一線を退く決意
陸上女子100メートル障害の元日本記録保持者で2021年東京五輪代表の寺田明日香(35、ジャパンクリエイト、恵庭北高出)が15日、東京都内で記者会見し「今季で競技者としての第一線を退くことを決意した」と涙ながらに表明した。4度目となる世界選手権(9月、東京)出場を目指し「集大成として臨む。(代表選考を兼ねる7月の)日本選手権は勝ち逃げしたい」と語った。

来年も地方大会には転戦
来季は日本選手権には出場せず、地方の大会転戦や技術指導などに重きを置く意向。「引退」の言葉は使わず「競技の経験や挑戦する楽しさを次世代につなぎ、少しでも夢や目標の原動力となってくれたら」と願った。
北海道出身で35歳の寺田は全国高校総体を3連覇し、日本選手権でも10年まで3連覇。13年に一度引退したが、結婚や出産を経て16年から7人制ラグビーで復帰した。19年に陸上に戻って日本選手初の12秒台をマーク。21年には日本記録を2度更新するなど、この種目を長くけん引してきた。
愛娘・果緒さんが陸上を始めてくれた
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会見では娘の果緒さん(10)から花束を渡され「娘が最近陸上を始めた。『やりたい』と言ってくれて、陸上をやってきて良かったと思えた」と感慨深げに話した。
娘の果緒さんから花束を受け取り写真に収まる寺田明日香(左)
【一問一答】
寺田は涙あり、笑いありの会見で自らの思いを伝えた。主な一問一答は以下の通り。
―いつ決断した
「東京五輪ぐらいからずっとやめ方を探してきた。現役をしながら、もっといろんな世代の方とレースをしたいと思っていた。陸上競技は私の人生を豊かにしてくれたし、いろんな人に会えたのも大きな財産。競技の良さを、自信を持って伝えられるようにもなった。今年は思い切り走って、来年地方を回って終わるのが一番私らしいかなと思い、本当に最近決めた」
2021年8月1日、東京五輪女子100メートル障害準決勝で力走する寺田明日香
―シーズン前の発表
「プロ野球日本ハム監督の新庄剛志さんに憧れた。新庄さんは『今年でやめます』と言って、みんなが試合を見に行った。新庄さんみたいにはなれないけど、私も先に言うことで、最後の本気の走りを多くの方に見に来てもらいたいと思った」
【2023シーズン日本ハム激励会を札幌市内で開催 寺田が花束贈呈】
―12秒台に突入したことで福部真子(日本建設工業)や田中佑美(富士通)らも後に続いた
「世界を見るとまだ日本の女子は力が及んでいない。引き上げるためには一人の力では難しい。みんなで困って、みんなで頑張った方が引き上がる。そこに明日香さんがいて良かったと思ってくれるのであれば本望」
清宮「二刀流の活躍をずっと…」 克幸氏「ご縁がありすぎるぐらい」
プロ野球日本ハムの清宮幸太郎がサプライズでビデオメッセージを寄せた。北海道出身の寺田とは親交があったといい、自身のバットなどを贈呈。「母親とトップアスリートの『二刀流』として活躍されていたのをずっと拝見していた。たくさんご縁を持たせてもらえてうれしかった」などと思いを語った。
都内の会場には、清宮の父で日本ラグビー協会の副会長を務める克幸氏も登場。寺田が卒業した早大で長く監督を務めた清宮氏は「私も息子もご縁がありすぎるぐらい。最後の1年の挑戦も本当に応援しています」とエールを送った。
日本ハム清宮からビデオメッセージを受け取った寺田明日香
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