【’25ドラフト道産子有望株】③仙台大の長距離スイッチヒッター・平川蓮 野手転向で開花した侍ジャパン大学代表候補
長距離スイッチヒッターの仙台大・平川蓮=撮影・西川薫
左右の打席で大学通算30発超
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’25ドラフト道産子有望株」。第3回は昨年11月末に愛媛で行われた侍ジャパン大学日本代表候補強化合宿に選出された仙台大の主砲・平川蓮外野手(4年、札幌国際情報)。抜群のパンチ力で左右の打席から大学通算30本超えを放っている〝希少種〟だ。
三冠王で春秋日本一&侍選出からのドラフトへ
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4月12日に仙台六大学野球春季リーグ戦が開幕した。13日の開幕2戦目では、左投手相手に右打席から詰まりながらも左中間フェンスまで届く二塁打や犠飛をマーク。右投手に継投した終盤は、左打席で豪快なスイングを披露するなど開幕2連勝に貢献した。「まず春に三冠王を取って、チームとしては日本一になって、侍ジャパンに選ばれて、秋も日本一になってドラフトへ」と、明確な未来予想図を思い描く。
右肘の負傷で右から左打ちへ
紆余曲折を経てたどり着いた唯一無二のスタイルは、札幌国際情報高時代に形づくられた。野球を始めた頃から同校2年夏までは右打ちだったが、右肘の故障もあって秋から左打ちに転向。結局、高校3年間で甲子園には届かず、大学進学を決断。OBのソフトバンク・川村友斗外野手(25)や中日・辻本倫太郎内野手(23)を北海高で指導した父・平川敦監督(54)の勧めもあって、仙台大に決めた。
野手転向して3年時レギュラー定着
1年の春季新人戦で投手デビューしたが、秋に野手転向。最初は当時3年の辻本の後ろについてノックを受け、野手でのリーグ戦デビューも果たした。さらに2年秋に、過去の右打ちの経験を生かして両打ちに挑戦した。3年でレギュラーに定着すると、春秋のリーグ戦では4本塁打をマークした。
高校3年時は183センチ、77キロだったが、4年の歳月を経て、187センチ、91キロまで成長。通算本塁打は30本台後半をマークするスラッガーに成長を遂げた。投手時代に最速145キロをマークしたことはあるが「投手に未練はないです」と言い切った。

左右の打席での1試合複数本塁打を
得意な打席は「左」。本塁打も左打席からの方が多い。左右の違いを「左ピッチャーの時は右の方が得意ですし、右ピッチャーの時は左バッターの方が得意。左打ちの方が打球は飛ばすことができて、右打ちはコースに対してシンプルにバットを出せるコンタクト率が高いかな。右はまだ練習が足りないので、もうちょっと練習したい」。高校時代の2019年に、元日本ハムの杉谷拳士さん(34)が1試合で左右両方の打席で本塁打をマークしたのはテレビで見ていたと言い、「(自身は)まだないので、やってみたい」。平川にしか成し遂げられないであろう快挙達成も目指していく。
走攻守で魅力 走力はトップクラス
50メートル5秒9の足の速さを生かし、12日の開幕戦では3つの盗塁をマーク。視察したNPBスカウトの計測では、二塁到達タイムは3秒2台。NPBでもトップクラスの数値だ。しかも「スタートが遅れても、このタイム」と高評価だった。さらに遠投は120メートルと大柄ながら走攻守を兼ね備える。同大の森本吉謙監督(50)は「今年で22年目ですけど、これだけの素材を預かったことはないですね」と、将来性は抜群だ。
エスコンで7月に日米大学選手権
7月8、9日には北広島・エスコンフィールド北海道で日米大学野球選手権が開催される。「ぜひ行きたい」。昨年11月の強化合宿では「レベルの高い野球の近くでできて、うれしかったです。肩の強さと足の速さ、打球を飛ばす力、その3種類は上の方にいるかなって考えであったので、あまり通用しないとは思わない」。杜の都で大きく成長したスラッガーが日の丸のユニホームに袖を通し、プロ入りへの大きなステップを踏む。

■プロフィール 平川 蓮(ひらかわ・れん) 2004年3月31日、札幌市生まれ。父は北海高の平川敦監督(54)。札幌大倉山小4年の時、円山リトルジャイアンツで野球を始める。札幌宮の森中軟式野球部では遊撃手。札幌国際情報では2年夏の南北海道大会で初めてベンチ入りし、決勝戦でも登板したが準優勝。3年夏はエースで4番として南大会4強入り。仙台大では投手として進学したが、1年秋に打者に転向。内外野とも経験し、2年秋に左打ちから両打ちに。昨年11月の侍ジャパン大学日本代表候補強化合宿に初選出。187センチ、91キロ。家族は両親と兄。