石井一成 〝ラストチャンス〟をものにする決勝タイムリー レギュラー奪取へ必死のアピール
六回1死満塁、勝ち越し打を放った石井=撮影・小田岳史
■パ・リーグ1回戦 日本ハム9-3ロッテ(4月15日、ZOZOマリンスタジアム)
六回1死満塁でしぶとく左前打
日本ハムの石井一成内野手(30)が「7番・二塁」で先発出場。同点直後の六回1死満塁で、レフト前へ決勝タイムリーを放ち、連敗ストップに大きく貢献した。
背水の陣で臨んだ一戦で結果を残した背番号38。激しいポジション争いを勝ち抜くべく、まだまだ結果を追い求めていく。
エースの粘投に見いだした光明
五回終了時点で0-3。伊藤がロッテ打線に苦しめられる一方、日本ハム打線は相手先発・種市の前に3安打と封じ込まれていた。
だが、そんな展開の中でも石井は「大海が粘って良いリズムで投げてくれていて、徐々に流れが傾いてきていた」と、潮目が変わりつつあると感じていた。

フルカウントからの7球目に食らいつく
そして迎えた六回、石井の予感通り、一気に日本ハム打線が火を噴いた。1死後から打者が続けざまに出塁。6番・万波の左前打でついに同点に追い付くと、なお1死満塁とチャンスが続く場面で石井に打席が回ってきた。
「勢いもこっちに傾きかけていましたし、もう1点で逆転できる場面だった。そこはなんとしても、という思いで打席に入りました」。フルカウントからの7球目をはじき返すと、打球はレフト前にポトリ。三塁から野村が生還し、ついに日本ハムがリードを奪い取った。
新庄監督も大喜び 試合前に伏線が…
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この殊勲の一打に、新庄監督もベンチから飛び出して手を叩き、石井を称賛した。その光景を見て「うれしかったです」と目を細めたが、実はこの場面につながる伏線が、試合前に張られていた。
プレーボール前の時点で、今季10打数1安打の打率.100と打撃不振に陥っていた。そんな石井に新庄監督は、この試合がラストチャンスとなることを告げた。石井が持つリバウンドメンタリティーを呼び起こすための方策だったが、この策が見事にハマっての決勝打となった。
六回1死満塁、勝ち越し打を放った石井=撮影・岩崎勝
チャンスをくれた指揮官に感謝
「(ラストチャンスと)言われると嫌ですけど」と本音を口にしつつも、「その前に結果を出せという話なので。チャンスをいただいて本当にありがたい」と指揮官の温情には感謝しきりだ。
「ここからアピールしつつ、また良いところで打てればいいなと思います」と今後のさらなる活躍を誓った。
最激戦区の二遊間 「信頼してもらえるように」
この試合に先発出場した奈良間、さらには水野や上川畑、若林も控えている。その上に、この日はルーキー・山県も石井との交代でプロデビューを飾った。二遊間のポジション争いはチーム内でも最激戦区と言える状況にある。
「もちろんフルで出て最後の守備まで、というところが自分の希望としてあるので。信頼してもらえるようにやっていければ」。チームを勝利へと導いた一打でアピールした石井。競争をさらに熱く、激しいものにしていく。