SVライセンス取得済みだったイエスタが悲劇のVリーグ残留決定 郡浩也主将「言葉を失いました」
シーズン報告会で質問に応えるイエスタの郡主将(左)=撮影・十島功
SVリーグ理事会で準加盟に決定
悔しさ募るVリーグ残留―。北海道イエロースターズが16日、札幌市内のホテルでスポンサーを対象としたシーズン報告会を行った。2025-26年シーズンのSVリーグ昇格を狙っていたイエスタだったが、この日に行われた同リーグの理事会で継続審議とされていたヴォレアス北海道にSVライセンスが交付され、取得クラブが11クラブとなった。SVリーグは偶数クラブで編成するため、ライセンスを交付されたクラブが奇数となった場合は既存クラブが優先される。イエスタもライセンスは取得しているが、来季はSV準加盟クラブとなり、戦いの場はVリーグとなることが決まった。来季は翌シーズンから参入するための土台作りに尽力する。まずは今季かなわなかったVリーグ王者の座を全力で奪いに行く。
今季はVリーグ東地区で1位
最善を尽くしたが、吉報は届かなかった。今季、イエスタはVリーグ東地区を制したが、プレーオフセミファイナルで初代年間王者となった西地区2位のフラーゴラッド鹿児島にフルセットで敗戦し、シーズンを終えていた。3月の理事会で新たにSVライセンスを取得していたイエスタだったが、SVリーグが基本とするチーム数の関係から来季の参入はお預けとなった。
スポンサーへのシーズン報告会を行った北海道イエロースターズ
それでも前を向く澤野社長と郡主将
澤野佑介代表取締役社長(42)から残留という結果を伝えられたOH(アウトサイドヒッター)郡浩也主将(29)は「言葉を失いました」。澤野社長自身も「率直に悔しいです」と正直な気持ちを吐露した。しかし、悔やんでばかりもいられない。澤野社長は「ルールはルールとしてありますので、来年のシーズンは必ずイエロースターズがSVで戦えることを目標に付加価値の高いことを続けて参ります」と前を向き、郡も「僕たちはVリーグの舞台で勝っていけたら」と力を込めた。
来季もイエスタ所属を決めた郡主将「このチームが…を見届けたい」
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そんな中で、サフィルヴァ北海道時代から所属する郡は「来年もいます」と自ら志願してチームに残留することを決めた。「サフィルヴァ北海道からいて、このチームが大きくなる景色をたくさん見てきました。それだけにこのチームにいる楽しさを僕が一番分かっていて、このチームがどう大きくなるかを見届けたい」。
質疑応答で笑顔を見せる郡主将(右)
今季リーグ最終戦で過去最多動員
サフィルヴァ時代には300人ほどしか集まらないホームゲームもあった。しかし、選手やチームスタッフの奮闘により、年々〝イエスタ熱〟を高めてきた。今年3月23日に行われた東地区2位・埼玉アザレアとのリーグ最終戦(北ガスアリーナ札幌46)では、過去最多となる2753人を動員。「あの景色は忘れられないですし、本当にうれしく思いました」と、会場が観客で埋め尽くされた情景はしっかりと脳裏に焼き付いている。
東地区優勝を決めた東京ヴェルディ戦の会場にも2000人超の観客が集結した=クラブ提供
北海道ダービーやることできたら
来季は強化費、運営費ともに増額し、26-27年シーズンでの参入を見込むSVリーグで戦う基盤を固めていく。プレシーズンにはSVリーグのチームを招いて試合することも思い描いている。同じ北海道を本拠地とするヴォレアスの巻き起こした〝SVリーグ熱〟も感じ取っている。澤野社長は「最終戦もそうですけど、熱を感じました。お互いのファンが行き来できるようなシナジーはあると思うんですよ。北海道ダービーをやることができたら幸いかな」。
3月23日に行われた東地区2位・埼玉アザレアとのリーグ最終戦で得点を喜ぶイエスタ・OH山田(中央)
もう一つのクラブへの働きかけ
そして今回、残留の決定打となったのはSVリーグのクラブ数だっただけに、新たにSVライセンス取得するもう一つのクラブを増やすための働きかけもしていくつもりだ。「『SVで戦ったら、こんなシナジーはあるよね?』みたいな話は企業対企業なので、話しても良いと思うんですよね。ライセンスに直接影響するかどうかは、別の話として、そういう呼びかけはしていきたい」と澤野社長。
スポンサーに今季の報告をする澤野社長
優勝してSVへ上がる。それが使命
フロントの頑張りに選手はプレーで応えるしかない。Vリーグにも日本一という忘れものはある。郡は「それが僕たちに残された使命だと思いますし、やるべきこと。しっかり勝って優勝する。そしてSVに上がる」と王座奪還を誓った。与えられた試練を乗り越え、来年こそ歓喜の春を迎える。
■今季のチームを率いた浜崎勇矢監督(37)
「来シーズンもV.LEAGUE MENに参戦することとなりました。いろいろな思いもありますが、与えられた環境で最善を尽くすのみです。昨シーズンの悔しさを晴らすために、圧倒的な強さを証明したい。そしてV.LEAGUE MEN王者、V.LEAGUE王者の二冠達成を目指します。熱い応援をよろしくお願いします」
シーズン報告会で質問に応える浜崎監督