《岩本勉のガン流F論》万波の一発でよみがえった記憶 ヒルマン監督から告げられた2軍落ち
■パ・リーグ5回戦 日本ハム7-4オリックス(4月19日、京セラドーム大阪)
傾向と対策の繰り返し
山崎のシーズン初勝利はお預けとなった。ただ、決して悪いピッチングではなかった。これだけ経験豊富なピッチャー。相手チームは傾向を探り、対策してくる。その繰り返しがペナントレースで、それが何年も続く。四回に食らった中川の逆転2ランも、良く言えばツボにはまっただけだ。
心配は皆無 これぞ山崎のピッチング
まだシーズン3試合目の登板。山崎に限っては考えにくいが、ここで焦ってしまってはいけない。勝てなかったが、相手のタイミングをずらす「らしい」投球は随所に見られた。特に六回、降板直前のシーン。 先頭の太田にヒットを許し、打席に3番のディアスを迎えた。カウント1-2と追い込んでから、4球目にチェンジアップ。見事に相手の打ち気をそらし、三飛に切って取った。自分を見失うことなく、冷静に相手のタイミングを外す。これぞ、山崎のピッチング。ハッキリ言う。心配はない。
またまた一回り成長したスラッガー
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さあ、万波やで! たかが1打席、されど1打席! またまたマンチュウが一回り大きくなった。
今季初めて、スタメンを外れた。そこに来て、声がかかったのは同点の八回。2死一、二塁のチャンスだった。ここで勝ち越し3ラン。自分でモヤモヤする状況を打破した。チームにとっても大きい。今季、対オリックス初勝利だ。
水谷の今季初安打もアシスト
この一発は〝好スパイラル〟も生んだ。4打席目までノーヒット、今季初出場した前日を含めれば、8打数無安打だった水谷が直後にダメ押しの2ランをかっ飛ばした。これだ! 水谷にも期するものがあったはず。素晴らしい相乗効果だった。
悔しかったリリーフ転向
万波よ、ベンチで聞いた球審のプレーボール。代打の打席に向かう時の気持ち。どうか忘れないでもらいたい。この一瞬一瞬が糧になる。
悔しさはバネになる。私にも経験がある。ヒルマン監督の時代、なかなか勝ち星に恵まれず、ついに2軍に落とされたことがあった。それまで開幕投手も経験(1998、99年には2年連続完封勝利)し、シーズン2桁勝利も味わってきた。キャリア晩年ではあったが、「次に上がって来た時はリリーフを考えている」というチーム方針も伝えられた。悔しかった。
万波はまだまだ大きくなる
ただ、短いイニングで目いっぱい自分を表現するために歯を食いしばった。1軍に復帰し、リリーフで結果を出したら、ローテーションの谷間ではあったものの、再び先発のチャンスももらえた。
すべて思い通りに事を運ばせながらユニホームを脱いでいく選手など、一人もいないだろう。万波はまだまだ大きくなる。そう確信した。