今川優馬 愛妻のためにも再び1軍へ 仙台での別れ際に誓った「また2人で頑張ろう」
ファンサービスを終えて、執念ポーズを見せる今川=撮影・中田愛沙美
■イースタン・リーグ4回戦 オイシックス3-4日本ハム(4月19日、鎌ケ谷スタジアム)
見せつけた勝負強さ&〝執念ポーズ〟
日本ハムの今川優馬外野手(28)が代打で登場し、逆転の2点打を放った。
1点を追う八回。1死一、二塁の絶好機で「代打・今川」がコールされると、鎌ケ谷スタジアムにこの日一番の歓声が沸き起こった。重盗で二、三塁とチャンスが広がり、エスコバーの投じた2球目を中前へ。2人の走者が生還して逆転に成功し、一塁上で人さし指を立てる〝執念ポーズ〟を決めた。
代打で逆転打を放った今川
ファンの歓声が大好物!
「あの場面、チャンスで(2軍監督の)稲葉さんに起用してもらって、去年と同様、(2軍戦では)若い選手を優先で使うというチーム事情は理解している。与えられた打席でなんとか存在感をアピールしなきゃなって思いと、あとは歓声ですね。負けていて勝ちたかったので」。一振りでヒーローとなり、気持ち良さそう汗を拭った。
代打で逆転打を放ち、ヒーローインタビューを受ける今川(中央)
開幕1軍も6試合で打率.154
プロ5年目の今季は開幕1軍入りも、6試合に出場し、打率.154と目立った成績を残せず。楽天モバイルパークで行われた9日の楽天戦の試合前に、2軍降格を告げられた。
受け入れた降格 「この世界、惜しいだけではダメ」
前日8日の同戦では「5番・左翼」で先発出場も2打席凡退し、第3打席で代打を送られていた。「もちろんショックでしたし、悔しかったです。その前日、打てなかったので(出場登録)抹消のやつだなと自分でも思っていたので。毎回、抹消は悔しいですけど、今回はしっかり受け入れられた。目に見える結果でアピールできなかった。惜しい当たりはもちろんありましたけど、この世界、惜しいだけではダメだと感じました」
いつも支えてくれる最愛の妻
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
つらい時に支えてくれたのは、仙台まで応援に駆け付けてくれていた愛妻だった。
「その時、妻が仙台に一緒に来ていたので、その帰る日に『ごめん、抹消になっちゃったわ』と言って『全然、謝ることじゃないよ』みたいな。去年は5月から4カ月くらいずっと(2軍の)鎌ケ谷にいて、ほぼ単身赴任で。去年があったので今年はそうならないようにと2人で誓ったシーズンだった。すぐそうなってしまったので、妻のためにも1日でも早く札幌に帰ることが僕の務めだと思って、また2人で頑張ろうと、そこでお別れしました」
見送った妻の背中「だから余計、悲しかった」
登録抹消の翌日から2軍の遠征先が仙台だったこともあり、今川が夫人を見送る側となった。
「いつもは僕が行ってきますと言う立場だったのに、仙台では僕が奥さんにバイバイと言う逆の立場になりました。だから余計、悲しかったというか。早く家に帰らないと、愛想尽かされちゃうんで」。リスタートに向けて、覚悟は固まった。
決して腐ることがない元気印
置かれた環境でベストを尽くす。2軍は若手選手の育成の場でもあり、出場機会が限られる。ベンチスタートが多いが、「やるべきことはしっかりやりたい。若い子がたくさんいるので、悪いお手本にはなりたくない」。試合中はベンチで誰よりも声を出し、攻守交代で戻ってきたチームメートを真っ先に出迎える今川の姿がある。
ベンチスタートも仲間を鼓舞する今川(右)
すべてはチームのため 将来のファイターズのため
「(中島)卓さんもベンチにいる時は声を出していますし、そういったところを見て、後輩たちは学ぶというか、自分の強みにしてもらいたいと思う。じゃないと数年後のファイターズを考えた時に。やっぱりチームのスポーツなので。絶対、1人だけじゃ勝てない。ファームでも、全員で勝ちにいくこと(姿勢)を植え付けたい。だから僕が(2軍に)来て、ベンチがにぎやかになったと後輩たちは言いますけど、ばかやろうって(笑)。おまえらがやれよと言っています。試合に出られなくても、チームのために何かで貢献できるような選手が1人でも増えないと」
常に見据える1軍の打席
何事も前向きに捉えている。夜は鎌ケ谷の寮に隣接している室内練習場でバットを振る。
「楽しいですけどね。夜遅くまで野球に打ち込める環境があるのは。きのうも細川と浜田と(午後)9時半くらいまでやっていました。打たないと。打つのみですね」。ひたむきに努力を積み重ねれば、チャンスは必ずやってくる。
