育成2位の道産子ルーキー渋谷純希 悔しいデビューも前を向かせてくれた人たちの存在
公式戦デビューした渋谷(手前中央)がイニング途中でマウンドを降りる=撮影・中田愛沙美
■イースタン・リーグ5回戦 オイシックス8-2日本ハム(4月20日、鎌ケ谷スタジアム)
プロの洗礼を浴びた道産子左腕
日本ハムの育成ドラフト2位ルーキー・渋谷純希投手(18)が公式戦デビュー。三回からマウンドに上がり、3安打2四球の2失点で1イニング持たずの⅓回で降板した。
試合後の第一声は「マジ、最悪というか…」。悔しい投球内容となったが、道産子左腕の周りには温かく見守ってくれる人たちがいた。
出はなをくじかれて「空回りしていました」
登板前は「緊張よりも楽しみとか、やってやる気持ちの方が大きかったですね」。気合十分だったが、マウンドに立つと違った。先頭打者に右前打を許し、続く打者はストレートの四球。「最初のランナーが出た時、四球を出した時、地に足が着いてないなって、空回りしていました」
公式戦デビューした渋谷
ピンチで再認識した心強い先輩たちの存在
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さらに連続四球で無死満塁のピンチを招き、江口2軍投手コーチがマウンドへ。戸惑う渋谷をチームメートの先輩たちが囲んだ。捕手・進藤から肩をモミモミされ、一塁を守る古川は肩をポンと叩いてくれた。
「本当に投げやすい環境にしてくれた先輩たちに感謝したいです」。表情が和らいだ。
渋谷(右から3人目)がピンチを招き、チームメートがマウンドに集まる
笑顔で渋谷を抱き寄せた稲葉2軍監督
中犠飛で1点を失い、続く左前打で2点目を献上。中前打を浴び、1死満塁となったところで、投手交代を告げるため、稲葉2軍監督がベンチを出た。
笑顔で渋谷の肩を抱き寄せ、「泣きそうになっていたからさ。きょうは(試合で)投げられたのが良かった。進藤もいい球が来ていましたよ、と言っていた」と優しいまなざしを向けた。
イニング途中で降板する渋谷(左)に笑顔を向ける稲葉2軍監督(右)
心に強く誓ったリスタート
指揮官の温かい声かけに、18歳は「結果はどうでもいいから、これからだなとずっと言ってくれた。地道にやっていきたい」と感謝した。
庄司・選手教育ディレクターからも熱い励ましの言葉をもらい「本当にここからスタートみたいな。リスタートして一回、切り替えてやろうと言ってくれた。本当にその通りだと思います」
まだ始まったばかり 「いい収穫になった」
試合後は室内練習場へ直行。自身のピッチング動画を見ながら1人、反省会をした。
「フォームに改善点があった。プロのバッターに初めて投げて、逆にいい収穫になったと捉える。ずっとグチグチ言ってもしょうがないので切り替えるしかないです」。プロ生活は始まったばかり。周囲の人たちの支えもあり、道産子ルーキーはしっかり前を向いていた。
