田中克幸 直接FKで値千金の同点弾「攻撃の中心として信頼される選手に」
前半30分、FKで同点ゴールを決めるMF田中克=撮影・小田岳史
■J2第10節 札幌2-1藤枝(4月20日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
北海道コンサドーレ札幌は20日、ホームで藤枝と対戦し2ー1で逆転勝利を飾った。スタメン出場したMF田中克幸(23)は、1点ビハインドの前半30分に直接FKを沈め、今季初得点をマーク。天才肌のレフティーが白星に大きく貢献した。
相手GKの動きを細かく観察
鮮やかな一撃がホーム2連勝を呼び込んだ。ペナルティーエリア手前。ゴール中央やや右でボールをセットした背番号14は、相手GKの動きを細かく観察していた。
「蹴るまでの時間を長く取って(様子を)うかがっていた。僕たちが隠した壁でキーパーはボールが見えてなさそうな動きだったので、枠内に飛ばせば入ると思っていた。ちょっと角度があって、正確に枠へ飛ばすにはファーかなって」
前半、FK前に話し込むMF田中克(中央)とMF青木(右)
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集中力を研ぎ澄まし左足を振り抜くと、ボールはブラインド役を務めた青木の頭上を抜ける。低い弾道のシュートは、反応が一瞬遅れたGKの右手を弾き、そのままゴールへ吸い込まれた。
前半30分、FKで同点ゴールを決めるMF田中克(右)
同点弾が決まっても派手に喜ばなかった理由は…
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価値ある同点弾を叩き込んだ後も、顔色一つ変わらない。薄いリアクションの理由は「振り出しに戻しただけで勝ち越しゴールではない。僕はキックを特長としている選手なのであれは決めて当たり前。(キッカーを)任せられている以上はしっかり決めないと」。クールな仕事人は、技ありのゴールを淡々と振り返った。
前半30分、FKで同点ゴールを決め、チームメートと喜ぶMF田中克(中央)
桜の木の間に張ったネットで鍛えた左足のコントロール
正確無比な左足のルーツは幼少期の取り組みにある。自宅前には桜の木がズラリと並ぶ。少年だった田中克は、親が木の間に張ってくれたネットに向けて、来る日も来る日もボールを蹴り続けたという。
「めちゃめちゃボールを蹴っていました。好きで、好きで。あまりゲームもしなくて外で遊んでばかりいました」。
「疲れが一気に吹っ飛ぶ」
幼い頃に磨いたスキルは、プロの舞台でも十分に通用する武器となった。均衡を破る飛び道具は希少価値があり「セットプレーで点が入れば、みんな楽になる。疲れが一気に吹っ飛ぶ。流れの中で取るゴールもうれしいけど、セットプレーで点が入るのは相手にとって脅威。本当にやりづらくなると思う」と、高精度のキックが持つ意味を力説した。
前半30分、FKで同点ゴールを決め、MF近藤(左)と喜ぶMF田中克=撮影・中本翔
非凡な攻撃センス「自信になった」
非凡な攻撃センスを誇り、トップ下やボランチなど幅広いポジションに高い適性を示す。札幌をけん引する23歳は「自信になったしチームが勝ったことが一番うれしい。これから連戦が続く。攻撃の中心として結果を出して、信頼される選手になりたい」。胸の内には、中心選手の自覚が芽生える。
試合終了後、サポーターに手を振るMF田中克