郡司裕也 確信小走りの特大弾 野球人生初「バットフリップ」で盛り上げた
二回1死、ソロ本塁打を放った郡司=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ4回戦 楽天4-2日本ハム(4月22日、エスコンフィールド北海道)
先制アーチにそつない守備で存在感
日本ハムの郡司裕也捕手(27)が「6番・三塁」でスタメン出場し、二回に左翼ポール際へ特大の一発を放り込んだ。
七回には中前打で出塁し、マルチ安打。今季初となった三塁の守備もそつなくこなし、存在感を示した。
狙い澄ました一発
カウント3―1。藤井の高め真っすぐを迷いなく、振り抜いた。
「一発を狙っていました」。確信小走りから、右手に持ったバットをクルリと回転させながら離した。歓声が降り注ぐ中で「バットフリップ」を鮮やかに決めた。

昨季のCSで万波が披露
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昨季のCS(クライマックス・シリーズ)ファーストステージで、万波が同点弾を放った際、バットフリップを披露した。打った瞬間、本塁打を確信した時だけ許される儀式が、頭の片隅にあった。
瞬時の判断で行動した。「ゆっくり歩ける時間があったので、あ、これチャンスじゃない?と思って。ちょっとやってみました。人生で初めて決まりました」
まさに会心の一撃 あわや111万円
舞い上がった打球は左翼ポール際の上段に到達。飛距離十分で、方向がやや右なら、賞金111万円が懸かった「SHINJOボード」に当たってもおかしくなかった。
「すげー飛びましたね。(プロ入りしてから)一番、飛んだかな。ボードまで行ったかなと思いました」と、手に残る感触を振り返った。
本塁打を放ち、ベンチで祝福を受ける郡司(背番号30)=撮影・宮永春希
すべては出場機会を得るため
今季は開幕から内外野と捕手をこなしている。昨オフ、志願して捕手に再チャレンジすることを決めた。本職へのこだわりを貫くためでも、自尊心を満たすためでもなかった。
未来を予測し「甘くないですよ。普通にいけば、清宮とジェイ(野村)が一塁と三塁に入る。マルティネスもいる。外野だってメンバーが揃っていますからね。僕が出るためにはどうすればいいか―と考えた時にキャッチャーをやるしかない」と結論を導き出していた。
昨季、大ブレークも慢心なし
2024年シーズンに大ブレークした。規定打席に到達し、打率.256はチームトップで、12本塁打、49打点を挙げた。紛れもなく、中心選手の一人になった。
それでも危機感が消えることはなかった。自らの力を過信しない謙虚さと、風を読む嗅覚を持ち合わせていた。

激しいポジション争いは重々承知
今は3割を超える高打率を残していても、スタメンは保証されていない。それほど、ファイターズ打線の層は厚くなっている。ただ悲観はしていない。
「そこで気持ちを乱したらたぶん、バッティングも乱れる。出られなかったら悔しいですけど、しっかり練習して我慢してという日々だと思います」。郡司は試練を真っ正面から受け止め、コツコツ結果と信頼を積み上げていく。