吉田賢吾 プロ初の先発マスク 悔しい8失点も成長を誓う
プロ初の先発マスクをかぶった吉田=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ5回戦 楽天8-3日本ハム(4月23日、エスコンフィールド北海道)
プロ3年目で初のスタメンマスク
日本ハムの吉田賢吾捕手(24)がプロ3年目で初めて捕手としてスタメン出場。結果的に計8失点を喫しての敗戦と、ほろ苦い第一歩となった。
それでも最後までマスクをかぶり続け、七回には3号ソロを放つなど、持ち前の打力をアピール。この経験を今後に生かし、捕手陣が繰り広げているポジション争いに食い込んでいく。
立ち上がりのミスを猛省
〝火球男〟古林の日本デビュー戦ということもあり、日本国内だけではなく、台湾からも大きな注目を浴びた一戦。その相棒として抜てきされたのが、自身初の1軍での先発マスクとなった吉田だった。
「きょうはバッターうんぬんよりも、とにかく自分のボールを信じて、と。最初から変化(球)、変化とならないように、分かっていても真っすぐでいくよ、と伝えていました」。事前に入念な打ち合わせを行って、お互いの〝デビュー戦〟へと臨んだが、エラーも絡んで、一回にいきなり3失点。吉田もパスボールでランナーを進めてしまうなど、厳しい試合の幕開けになった。「細かい配球面も含めて、守備のミスがあったりとか、自分のパスボールがあったりとか、ヨーイドンで古林のリズムをチームで崩してしまった」と猛省する。
古林(右)の日本デビュー戦で先発マスクをかぶった吉田
入念なコミュニケーションでリカバリー
それでも「古林の感覚と、自分が捕っている感覚をすり合わせて、ここを気を付けようとか、このボールは使っていくよ、という話をしたり」と、ベンチ内での話し合いでリズムを取り戻し、二回から五回まではスコアボードに「0」を並べた。
再び訪れた試練 悔やまれる〝あの1球〟
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そんなバッテリーに再び試練が訪れたのが六回だった。1点を追加され、なお2死一、二塁の場面で迎えたのが、前日も本塁打を放っている浅村。カウント1-2からの4球目だった。アウトコース気味の152キロをライトスタンドまで運ばれてしまった。
古林(右)に声をかける吉田
「あそこの一発はすごい自分の中でも悔いが残るというか。きょうはあれだけインサイドに行ききっていたので、最後までインコースで行き抜いて、あれをレフトにカン、って引っ張られて打たれたなら(まだ良かった)と、自分の中で後悔がある。カウントもまだ1-2だったので、迷ったなら外させてとか、いろいろなことができたので。ピッチャーは同じ150キロでも、気持ちの入った150キロと、どうなのかなと疑いの入った150キロでは、どうしても球の力は全然違うので、あそこは完全に自分のミスだなと思っています」。打たれた古林、そして受けていた吉田にとっても、悔しさの残る1球となってしまった。
意地の一発も「もうどうでも良いです」
それだけに、6点ビハインドの七回に放った3号ソロについては「きょうのバッティングは、もうどうでも良いです。負けゲームで打ってもしょうがないので」と、まったく喜びを見せなかった。
だが、本拠地で苦しい試合が続くファイターズファンにとっては、少しでも溜飲(りゅういん)が下がる一撃となったはずだ。
七回2死、吉田がソロ本塁打を放つ
すべてをプラスに前進あるのみ!
結果的には大敗となってしまったが、その中で吉田は最後までマスクをかぶり続けた。
「キャッチャー自体、ホークスでも昨年の5月以降やっていなかったので、長いイニングを守るのは久しぶりでしたし、久々の体の疲労感を経験して、また次につなげられたらなと思います」。持ち前の打力に、捕手としての経験値を積み重ねて、ファイターズの正捕手争いに名乗りを上げる。
九回を無失点に抑え、ベンチに戻る福谷(右)と吉田