(株)コンサドーレが過去最高売り上げも赤字決算 ライセンス維持へ石水創社長「きちっと黒字化を」
株主総会に臨むコンサドーレ代表取締役社長の石水創氏=撮影・北波智史
2億7000万円超の純損失
北海道コンサドーレ札幌を運営する株式会社コンサドーレは24日、札幌市内で株主総会を開き、第29期(2024年2月1日から25年1月31日まで)の決算を承認し、2億7287万6000円の純損失を計上した。純資産合計は今年1月に石屋製菓が6億円を追加出資したことで3億3097万2000円と大幅増。すでに始まっている今期は、2026-27年シーズンから始まる秋春制移行に伴い26年6月まで延長し、4.4億円の赤字予算を組んだ。また、13人の役員を6人に削減する議案も承認され、元DAZN日本法人取締役のディーン・サドラー氏(60)が新たな役員に就任した。
過去最高となる約50億円の売上
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売り上げは約50億で過去最高の数字で、前年比121パーセントを達成した。主な内訳は、興行収入が前年比145パーセントの11億円超えと大幅に増加。広告収入も20億円を突破した。グッズ売り上げも好調で、Jリーグからの配分金などは微減。選手の移籍金収入を含む、その他売り上げが9億円を少し越えるなど、売上増に寄与した。

強化と経営の両輪を回していく
売り上げが増えた一方、単年度では赤字決算となった。今年1月に代表取締役に就任した、親会社の石水創石屋製菓代表取締役社長(43)は「支出のところが課題として残った。そこは私が社長に就任した大きな理由で、強化と経営の両輪を回していくところ。今期、その経営の部分においても、きっちりと精査する。今期も赤字予算ではありますけれども、2027年6月期を目処に、きちっと黒字化を出せるようにしっかりとやっていきたい」。クラブライセンスを維持するには、来期は待ったなしの状況だ。
改革するところはたくさんある

今期予算は社長就任前にJリーグに提出された計画で石水社長は関わっていない。「いろいろ改革するところはまだまだたくさんある。今期4.4億で赤字ということで予算は組んではいるけれども、そのまま4.4億で良かったねとは思っていない」。強化費はJ2ではトップクラスの20億円を計上する一方、支出面では大幅なテコ入れを図る方針だ。
サドラー氏の役員就任
新役員に選出したサドラー氏に寄せる期待は大きい。「dazn日本の代表取締役としてもやっておりましたし、サッカーのみならずスポーツ界での人脈の部分は持っております。国内外問わずサドラーの人脈だったり、経営センスでコンサドーレに貢献していただけるんじゃないか。今回選んだ取締役は、全員がクラブにフルコミットできる人選だと思いますので、新たな取締役、経営陣と一緒に立て直しをしていきたい」。役員を半減し、少数精鋭によるクラブの舵取りを行う。

現チームの総括は直接サポーターへ
今季はJ1昇格が最優先課題として突きつけられているが、現在の順位は遠く及ばない。「選手や監督の今季これまでの総括みたいなところは来週4月29日にサポーターズミーティングがあるので、その時にお話ししたい」と、直接サポーターに説明する機会を設けるつもりだ。
クラブ創立30周年をJ1で
さらに来年はクラブ創立30周年を迎える。「僕は新たなスタート、第2の創業だなって思っております。そのためにクラブフィロソフィー、フットボールフィロソフィーを、今までの歴史だとか、選手たちの声だとか、OB選手たち、クラブのスタッフたちの声だとかを拾い上げながらつくってきたものがある。それを来週発表しますけれども、どんどん磨きをかけて、いい30周年、来年につなげる意味でも、いい期をまた迎えていきたい。それがJ1の舞台であるっていうことが一番大事」。大きな転換期を迎えている札幌の未来をクラブ一丸となって切り開いていく。