【’25ドラフト道産子有望株】⑥北海学園大の159キロ右腕・工藤泰己 メジャー3球団が注目する北の豪腕
メジャー3球団も注目する最速159キロ右腕の北海学園大・工藤=撮影・西川薫
伸びしろ無限大! ロマンあふれる逸材
今秋のプロ野球ドラフト会議で指名が期待される選手を先取りする「’25ドラフト道産子有望株」。第6回は北海学園大の159キロ右腕・工藤泰己(4年)。3月23日の巨人3軍とのオープン戦で自己最速を2キロ更新する158キロをマークすると、その1カ月後の4月23日には日本ハム・栗山CBOらが視察に訪れた北海道ガスとのオープン戦でさらに1キロ更新。NPB9球団に加え、メジャー3球団も注目する。
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夢の大台にあと1キロ。投げるたびに自己最速を更新し続ける、ロマンあふれる北の豪球右腕が、いよいよラストイヤーを迎える。「将来的には160キロ投げたい、というのは、もちろんありますが、今年は球速にこだわらない。最高学年で、しかもドラフトイヤー。しっかりゲームメークできる能力がないと、さらに上のステージでプレーするのは難しい」。メジャーも注目するが「できればやりたい、という思いはあるけど、NPBから段階を踏んでいくのがルートじゃないかな」。国内で確固たる実績を残し、自他共に認められる存在へと成長することが最優先と捉えている。
投内連係のノックを受ける工藤(左)
昨秋は不本意な状態も今春は万全
昨秋は、開幕2週前に体調を崩し、さらに右手のマメをつぶして、抑えに回った。3試合5回1/3で1勝。「体重も3キロぐらい落ちて、さすがに先発で投げられる状態ではなかった。後ろで投げることがメインでしたが、自分としては不本意なシーズンだった」。今年は3月末の巨人3軍戦でクローザーとして1回被安打1、無失点。西武3軍戦では先発して3回ノーヒット1失点(自責0)。万全の状態で開幕を迎える。
島崎監督によると工藤に必要なのは「○○能力」
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課題だった与四死球率も年々改善。島崎圭介監督(53)は、工藤のプロ入りをさらに確実なものにするには「あとは完投能力」と指摘する。リーグ戦には3年間通算9試合に先発登板も、まだ完投はない。「一人舞台になってほしくないとは言いつつも、イニング以上の奪三振とか、本人がプロに行く目安としては、そういうとこなのかな」。工藤自身も「四死球が多くて球数がかさんでしまうので、球数を少なく長いイニングを投げることが、そこ(完投)につながっていくる。まずその回、その1イニングを抑えることが積み重なって、完投につながる。完投したい気持ちはあるが、1イニングきっちり抑えたい気持ちが強い」。
同期のエース・木村大成に対する複雑な思い
秘めた思いがある。北海高1年秋に捕手から投手に転向。最速は145キロも、同期のエース・木村大成(21)の陰に隠れて、公式戦の登板は3年間で5試合のみ。「マウンドで投げるまでの実力はもちろんなかったですし、木村が大エースとして投げていたこともあり、劣等感が多少あった。本当はダメだと思うんですけど『いいな』って思いながら見ていた部分があった。実際、(木村が)ドラフトにかかって、本当は悔しいはずなのに、すごく喜んでいたんですよ。ドラフトが終わって家に帰るときに、喜んでいたのが悔しいなと思って。そこから絶対、4年後まくってやる、木村より上の順位で絶対(プロに)行って、周りを見返すつもりで」。スポットライトを浴びる同級生の姿を目に焼き付け、大学での巻き返しを心に誓った。

今年こそ神宮切符を
大学進学後、工藤の学年は投打に選手層が厚く、1年時から期待されてきたが、2年秋のリーグ戦を制したものの、明治神宮大会北海道地区代表決定戦では、北海道学生連盟王者の東農大北海道に苦杯をなめた。「勝てる勝てる、と言われて勝てずに、ここまできた。今回、神宮に行って全国のチームと戦って、地方リーグにも良い選手がいるんだってことを多くの人に知ってもらいたい」。高校時代、全国的に無名の雑草軍団が、今年こそ神宮切符をつかみ取る。
工藤投手の投球フォーム
■プロフィール 工藤 泰己(くどう・たいき) 2003年9月29日、札幌市生まれ。札幌常磐小1年時に常磐ハリケーンで野球を始める。常磐中では軟式クラブのT・TBCで捕手。北海学園大の高谷舟投手(4年)とチームメート。北海高では1年春の札幌支部予選で控え捕手としてベンチ入り。同秋から投手に転向。3年春夏連続で甲子園に出場。北海学園大では1年時に150キロをマーク。3年間でリーグ戦通算4勝。175センチ、87キロ。変化球はカーブ、スライダー、スプリット、チェンジアップ、カットボール、ツーシーム、パーム。右投げ右打ち。家族は両親と姉。