苫小牧中央・小嶋コーチが甲子園で初の女性審判員に 5月5日「春の軟式交流試合」
5月5日の軟式高校野球『春の交流大会』で日本高野連主催の大会で初めて甲子園に立つ女性審判員、苫小牧中央高の小嶋コーチ=撮影・西川薫
審判員全12人のうち7人が女性
5月5日に初開催される「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合 in 甲子園」で、日本高野連主催大会としては初めて女性審判員が甲子園のグラウンドに立つ。今回担当する審判員全12人のうち、7人が全国から選ばれた女性審判員。北海道から苫小牧中央・小嶋佳穂コーチ(31)が派遣される。
昨年講習会に参加「声を出した時にすごく反響する」
チームの甲子園初出場より一足先に、小嶋コーチが聖地の土を踏む。22年に室蘭支部で道内初の女性審判員としてデビュー。昨年4月に甲子園で行われた全国審判講習会に参加した。「率直にまず広いなというか、観客席が多いので、北海道ではちょっと味わえないような感じ。あと、声を出した時にすごく反響する感覚も初めてだった。常に選手のためということを忘れず、教育の一環として、あとはもう全力でやろうと思っています」。甲子園では3イニングほど塁審を担当する予定。新たな歴史の証人になる。
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小樽市出身。父で2004年南北海道大会で小樽潮陵を準優勝に導いた、小嶋仁章元監督(62)の影響で、小樽高島小4年時に女子野球クラブチームの「札幌ブレイク」で野球を始めた。藤女子高卒業まで同クラブで内野手兼捕手としてプレー。日体大でも捕手を務めた。9歳の頃から小樽潮陵のレプリカユニホームを着て、バックネット裏でスコアブックをつけるのが楽しみで、いまも室蘭支部で公式記録員として活躍する。
小嶋コーチ(左)の父は道高野連元専務理事の仁章さん
審判員挑戦を後押ししてくれたのは
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背中を押してくれたのは、日本ハムの根本、広島の斉藤らを高校時代に育てた渡辺宏禎監督(56)だ。父・仁章さんを通じて、自らの出身校である日体大進学を勧め、卒業後もコーチとして面倒を見てくれた。コーチ1年目に審判員挑戦を後押ししてくれたのも指揮官だ。大会当日は、室蘭支部開幕を目前に控える大事な時期だったが「行ってきていいよと、言っていただいて、ありがたく行かせていただくことにしました」と小嶋コーチ。渡辺監督は「胸を張って送り出せる。運動神経がいい。判断も全然問題ない。甲子園の空気を持ち帰ってもらってと。ま、土までとは言わないんで(笑)」。当日は生配信を通じて〝教え子〟の晴れ姿を見届けるつもりだ。
道高野連初の女性審判員の道筋を後押しした苫小牧中央の渡辺監督(左)と小嶋コーチ
父・仁章さん「私は甲子園での研修すらないです」
父・仁章さんも道高野連の審判員として経験を積んだが、甲子園審判員の機会はなかった。審判員の先輩としては「まだまだ経験、研究が必要なところ。こういった経験をどんどんいただけるのは本当にうれしいですし、ありがたいですね。私は30年間審判員をやっていましたが、甲子園での研修すらないです。20年以上経って、ようやく甲子園の研修会に出られる時代でしたから」と目を細める。試合当日は、甲子園で直接、まな娘の審判員ぶりを目に焼き付ける。
選手を終えた後の選択肢に「指導者」を加えてほしい
全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝戦は、2021年から甲子園で開催されるようになった。22年夏の甲子園からは、それまで記録員としてしかベンチ入りできなかった女子部員が、ユニホームを着てノックの補助をすることが可能になった。「うらやましいですよね。自分もその時だったら行きたかったな。女子にも甲子園に立てる機会ができたのは本当に良かった。私の場合、渡辺監督がいたので、異例の形で女性コーチとして採用していただき、審判の道も開けた。指導者の女性がまだ少ないので、高校、大学で野球を終えた後の進路先というか、その後も続けてくれる人が増えるといいですね」。これからも高校野球の女性審判員のパイオニアとして、後進のお手本になるようなジャッジを心がける。
■「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合 in 甲子園」
5月5日(月)午前11時開始。高校軟式野球の普及と振興を目的に、全都道府県から選手を選抜し東西交流戦を行う。当日入場できるのは関係者のみ。バーチャル高校野球でライブ配信あり。
【〝もう一つの選抜甲子園〟来年5月5日開催へ 東西の選抜チームで1試合限定の交流試合】