中村桐耶 途中出場の左SBで攻撃活性化「勝ち切らなきゃいけない試合だった」
後半途中から出場し、攻撃を活性化させたDF中村=撮影・松本奈央
■J2第12節 札幌2-2長崎(4月29日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
北海道コンサドーレ札幌のDF中村桐耶(24)が後半10分から途中出場し、左SBに入って停滞していた攻撃を活性化させた。中村の投入後、息を吹き返したチームはMF近藤友喜(24)とMF原康介(19)のゴールで2点ビハインドに屈することなく、勝ち点1を獲得。CBで先発した12日の水戸戦では失点に絡むミスを犯したが、この日は新たな持ち場で輝きを放った。
ワンタッチクロスで波に乗った
ファーストタッチから魅せた。左サイドを駆け上がった中村は、MF高嶺のロングパスを引き出すと、後方からのボールにワンタッチでクロスを入れた。精度の高いボールは相手DFに触れることなく、ピンポイントでFWバカヨコの右足へ。バカヨコがゴール枠を捉えることができず、得点とはならなかったが、中村はこのワンプレーで波に乗ると、以降も常に高い位置を取りながら相手守備陣を翻弄した。

「ファーストプレーのところで、あの球にワンタッチでクロスを上げられたことが、出場してすぐできたので、それもあってフィーリング良くプレーできました。早いタイミングのクロスっていうのは、きょうの試合前からずっと言っていたことではあったので、そこの意図を持って、しっかりと上げられたところも、うまく試合に入れた一つの要因にはなるかな」
ボランチ2人の存在も大きかった
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
また、ボランチで先発出場したMF荒野の存在も大きかったという。「きょうのスタメンは(荒野)拓馬くんと(大﨑)玲央くんが入って、あの2人は(ボールを)持って、さばいてっていう(主導権を)握るタイプの選手で、テンポをつくっていく選手が2人揃っていた」。大﨑は前半のみの出場となったが、ボールを散らし、パスをつなぎながらリズムをつくり、長崎ゴールに迫っていった。
「元々去年なんかは、拓馬くんが主力で出ていたときは、(ボールを)はたいて動いて、はたいて動いて、を繰り返してリズムをつくれていたので、そこのリズムのところはきょう出たボランチの人たちがうまく使えていることもあって、優位に握る時間っていうか、ロングボールを蹴って押し込むだけじゃなくて、つないで展開するっていうシーンも多くできた」

勝利を求めた中で示した可能性
チームの攻撃に厚みが増したことにより、得点のにおいがするようになった。そして、後半アディショナルタイムの土壇場で追いつき、敗戦濃厚な試合から勝ち点をもぎ取った。
しかし、中村は「ホームだし、僕ら的には少しでも勝たなきゃいけない。何としてでも勝ち点3が欲しかった。2点差を追いつけたという意味にも取れますけど、前半の立ち上がりから自分たちが優位にボールを握って試合は進められていたので、勝ち切らなきゃいけない試合だった」と、前半からリードできなかった展開を悔やんだ。ただ、中村が左SBで示した適正は、今後を戦う上でも大きなオプションになり得る。黄金週間の大逆襲へ、鍵を握るのは背番号4だ。