≪三上GMインタビュー㊦≫戦力流出阻止へコミュニケーション重視
大卒新人の成長スピードは想像以上
―近年、大卒新人が主力になるサイクルができつつある
「(コンサドーレ)25年の歴史で、まずは高卒を育て、次に大卒と描いてきた。少し前のブランドや経済力、ネットワークで大卒選手を狙うことは『無い物ねだり』で非常に難しかった。なので、アカデミーの環境に投資し、トップに選手を輩出してきた。そういう選手が中心になり、J1で戦えるようになった。次のステップとしてスカウト活動にも投資し、成果が表れてきた。手応えを感じるし、今後もクラブの幹になる」
―金子、高嶺、田中、小柏らの成長スピードは期待通りか
「期待通り。1年目から、われわれのサッカーに対応できると思っていた。でもそれは11人の中の1人として。それが精神的にもチームの中心になれるところまで来ている。これには3年かかると思っていた。僕の予想を超えてくれた」
―順調に成長すると他クラブから声がかかるというジレンマもある
「現時点では宿命。どの選手ともクラブのビジョンを共有することが大切で、どれだけ必要なのかを明確にするのが第一歩。一緒に成長するということ。(外部からの)オファーに関しては誠心誠意、包み隠さず本人に他クラブの評価を伝える。その上でうちはこういう評価をしているよ、と納得できるようなものを提示する」
―必要な選手を残留させるためには
「移籍を100%防ぐにはビッグクラブになるしかない。給与をどこよりも払える環境をつくらない限り、起こりうる。札幌のチーム人件費はJ1で10~12番目。最大限のリスクヘッジは常に選手とより良いコミュニケーションを取ること」
―来季に向けて現有戦力は維持できそうか
「若い選手が他クラブから注目されているのは肌で感じている。現有戦力を『10』とするなら、『10』残すためにベストを尽くしている」
―来季へ向けてGMとしての抱負を
「1桁順位を達成したい。その中でいかにトップ5に入っていける環境をつくるか。ホーム最終戦・柏戦の内容と結果は、われわれが目指しているもの。それができなくても、しぶとく勝ち点1を奪えるチームになっていきたい」
(聞き手・石栗賢)