ファイターズ
2021/12/31 14:11

≪独占インタビュー≫現役引退・佑氏は感謝を胸に新たな船出 

挑戦し続ける人生―これからはアマスポーツの現場にも

第二の人生をスタートさせた斎藤氏。自分にしかできない何かを見つけ、挑戦を続ける(右)道新スポーツに来社し、インタビューを受ける(撮影・松本奈央)

 11年間、応援ありがとうございました―。今季限りで現役を引退した日本ハム・斎藤佑樹氏(33)が、本紙のインタビューに応じ、新たな一歩を踏み出した現在の心境を語った。2010年のドラフト1位で入団も、度重なるけがに悩まされ、通算15勝にとどまったプロ生活。11年間の感謝の思いを胸に、これからは「斎藤佑樹」にしかできないことを追い求めていく。
(聞き手・中田愛沙美)

「僕にできないことはたくさんあるけど、僕にしかできないこともある」

 現役ラスト登板となった10月17日のオリックス戦。札幌ドームが発祥とされるカウント3ボールからの拍手に、斎藤氏の心は大きく揺さぶられていた。
 「久しぶりに拍手を聞いたとき、うれしかったし、もう聞けないんだと寂しさを感じました。11年間の拍手のシーンを思い出して、これで野球選手として終わりなんだ。すごく動揺しながら最後の1球を投げました」
 フルカウントから投じたツーシームが外れて四球。最後の真剣勝負を終え、マウンドでグッと唇をかんだ。思うような結果は残せなかった11年間。それでも、道内各地で温かい声援を送ってくれたファンがいた。
 「地方球場に行ったとき、あれだけ満員になるのはすごいなと思いました。こんなに札幌ドームから離れていても応援してくれる人がいるんだなと、行った先々で感じられました。頑張る原動力になりました」
 2018年以降は白星から遠ざかり、批判の声もあった。つらい思いもしたが、たくさんの人が陰ながら応援してくれていた。
 「声に出さなくても応援してくれていた人たち、“サイレントマジョリティー”がいたと改めて気づけた引退でした。ありがたいことに、そのおかげで切り替えて前を向けているのかなと思います」
 今月10日に「株式会社斎藤佑樹」を設立したことを発表。学生を指導するため、学生野球資格回復研修を受講し、野球を軸に他のスポーツの現場にも足を運んでいる。
 「プロ野球で実績を残せていないので、プロ野球の解説よりはアマチュアスポーツの勉強をしたい。僕にできないことはたくさんありますけど、僕にしかできないこともあるはず。それを見つけている段階です」
 幕を開けた第二の人生。強い信念を持って、さまざまなことにチャレンジしていく。
 「ずっと挑戦し続ける人間でありたいと思います。頑張り続ければ、何かの形で報われるはず。いろんなことに挑戦したいし、何か一つに絞るのではなく、自分ができると思ったことは全部、挑戦したいです」
 北の大地に別れを告げ、佑ちゃんが力強く一歩を踏み出した。

後輩・清宮へエール「大きな選手になれる」

 斎藤氏にとって、早実高の後輩で自身と同じくドラフト1位で入団した清宮は特別な存在だという。11学年違いだが、まるで兄弟のように仲が良い。
 引退を決断した際には、同高の大先輩であるソフトバンクの王貞治球団会長に「あとは(清宮)幸太郎に任せました」と伝えたほど。「幸太郎が活躍しないとファイターズの優勝は見えてこない」と大きな期待を寄せている。
 その清宮は今季、プロ4年目で初めて1軍出場なしと、もがき苦しんだ。斎藤氏は「きっと抱えなくていいプレッシャーも感じているのかもしれない」とおもんぱかり、「それをはねのけて大きな選手になれると思っているので、頑張れという気持ちです」とエールを送った。

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