新庄BIGBOSS「100%結果で」前フリ終了 いざ伏線回収
就任初年度の2022年 開幕ダッシュで下克上狙う
壮大な前フリは昨年中でほぼ完了した。今年はその回収作業に入る―。昨季まで3年連続5位だった日本ハムが新庄剛志新監督(49)の指揮の下、2022年シーズンの巻き返しを狙う。ビッグボスはこのオフ、多くのメディアに露出してきた。それも全ては「北海道日本ハムファイターズ」の知名度を上げ、注目を集めるため。この追い風を持続させるためには、今年の戦いで「結果」を伴わなければならない。選手のやる気を最大限引き出し、Bクラスからの下克上を完成させる。(聞き手・十島功)
「ぶっ飛んだ監督がポンって入るだけで変わる」
ビッグボスのスター性、カリスマ性は、群を抜いていた。昨年11月の監督就任後、バラエティー番組出演オファーは殺到。自身のSNSでも積極的に発信し、新庄ビッグボスの名は瞬く間に全国へと広がっていった。
「選手で(日本ハムに)来たときの気持ちを比べてみたら今回の方がありえないぐらいワクワクする。俺でも監督になれるんだ。どれぐらい変えられるんだ? 監督の面白さって何だ? 全てがミックスされてのワクワク感があったから、選手時代とは全然違う」
新庄監督に引っ張られるように、選手たちにも変化が見られるようになった。前向きな発言や、身だしなみへの意識が目立ってきた。唯一無二の「モチベーター」として、これ以上ない役割を果たしている。
「もう(雰囲気が)明るいでしょ。ちょっとぶっ飛んだ監督がポンって入るだけで変わる。選手の表情とかも、今までと同じ表情なのに、明るく見えてしまう。不思議ですよね~。僕が自分で盛り上げていることによって、一つ一つのコメントでも変わっている」
自らが先頭に立ち、日本ハムへの注目を集めることがこのオフの狙いだった。思惑通り、新庄監督が行く先々には、多数のメディアもついてきた。このチャンスを逃すわけにはいかない。そのために必要なのは今年の試合で結果を出すことだ。
「100%、結果。これはただの前フリでしかない。いかに選手のテンションを上げて、見られているんだって意識させるか。マスコミの方たち、新聞の方たちが来て、カメラを向けられたり、取材をされたりしていると、やっぱり燃えてくるんですよ」
就任会見で「優勝なんかいっさい目指しませ~ん」と言い放ったが、そこにはまた別の違った意図があったのかもしれない。昨季の日本ハムの戦いぶりも当然、チェック済み。スタートダッシュの失敗が響き、浮上することができなかったことも分析は済んでいる。
「来年の開幕ダッシュっていうのは、ものすごく、もう85%ぐらいのエネルギーを使いたい。開幕でズドンって(下位に)落ちると、勢いに乗ってくるのに時間かかる」
故郷・福岡でのソフトバンク戦から始まる2022年シーズン。ビッグボス擁するファイターズが勢いに乗るには格好の地だ。本当の意味で日本全国のファンを驚かせるのは、そこからだ。
札幌Dの縁「巡り合わせ感じる」
北海道移転元年の2004年、ビッグボスは選手として日本ハムへと入団した。06年に引退してから16年が経過し、監督就任。23年には本拠地を新球場「エスコンフィールド北海道」に移すことから、今季は札幌ドームのラストイヤーとなる。
新庄監督は「巡り合わせ、めちゃめちゃ感じますよ。(選手として)移転元年にやって来て。僕、札幌ドームに移転してなかったら、ここに来てないですもん。新しいことにチャレンジするチームに対して、僕が加わることによって、どんだけ面白いことができるかー」。奔走していた当時を振り返るとともに、監督となったことには縁を感じているという。
選手時代のことも、全てが伏線のように思える。ビッグボスも「この巡り合わせはもう何かに引き込まれてる」とニヤリ。シーズン終盤、どんな伏線の回収の仕方で、どんなドラマが生まれているのか、注目だ。