原田総監督「とてもワクワク」2月4日開幕北京五輪へ意気込み
日本選手団が史上最多13個のメダルを獲得した2018年平昌五輪から4年。2月4日に北京五輪が開幕する。98年長野五輪スキージャンプ男子団体金メダリストで、北京五輪で日本選手団総監督を務める原田雅彦氏(53、雪印メグミルクスキー部総監督)が道新スポーツのインタビューに応じた。迫る大舞台へ、意気込みを語った。
―北京五輪イヤーが幕を開けた。本番は近づく。選手、指導者ではなく、総監督として迎える五輪。直接的に日本選手団に携わるのは06年トリノ五輪以来16年ぶりだ。現在の心境は。
「まずは、コロナ禍で無事に北京五輪の開幕を迎えられることをうれしく思います。また五輪に携われるということで、現役時代と同じように今はとてもワクワクしている気持ちが強いです」
―92年アルベールビル五輪を皮切りに、5大会連続で五輪に出場した。長野五輪では金メダルを獲得。現役時代の経験も踏まえ、総監督の役割をどのように考えているか。
「現役時代に出場した五輪では(72年札幌五輪金メダリストで、06年トリノ五輪スキージャンプチームの監督を務めた)笠谷幸生さんや橋本聖子さんの言葉に勇気づけられた記憶があります。とにかく周囲のサポートが大きかった。多少なりとも五輪のことを知っているつもりですので、私もそういう存在になりたいです」
―平昌五輪では女子スピードスケートで二つの金メダルを獲得するなど、道内勢の活躍が目立った。今大会注目している選手はいるか。
「スピードスケートの高木美帆さん(27、日体大職、帯南商高出)、スキージャンプの高梨沙羅さん(25、クラレ)。北海道民の立場から言うと、娘です。子どもの頃から応援している2人ですので頑張ってほしい。もちろん金メダルを期待しています」
―スキージャンプ男子でも、エースの小林陵侑選手(25、土屋ホーム)が絶好調。長野五輪以来の金メダル獲得の可能性が高まっている。
「実力からいったら世界でNO.1。(W杯総合優勝を果たした)3シーズン前の再現かと思うくらいの調子。私が絶好調だった長野五輪の時と同じように、期待されている。これからプレシャーを感じると思う。はね返さなくてもいい。プレッシャーがかかることを幸せに感じて受け止める。そうすれば良い結果につながると思います」
―平昌五輪では日本選手団が史上最多となる個のメダルを獲得した。北京五輪での目標は。
「コロナ禍でさまざまな国際大会が中止になっていますので、いつもよりデータが少ない。メダルをいくつというのは現時点では言えません。もちろん選手は全力を尽くしますので、前回よりも多いメダル獲得を目指しています」
■プロフィール
原田 雅彦(はらだ・まさひこ) 1968年5月9日、上川町生まれ。87年、東海大四高から雪印乳業に入社。92年アルベールビル大会で五輪初出場を果たし、94年リレハンメル五輪男子団体で銀、98年長野五輪男子団体で金、個人ラージヒルで銅メダルを獲得した。06年に現役を引退。雪印ではコーチ、監督を歴任し、今季から総監督。昨年6月には日本オリンピック委員会の理事に選任された。
スピードスケート女子 美帆高まる3冠への期待
日本人で最も金メダルに近いと言っても過言ではないのが、スピードスケートの高木美帆だ。10年バンクーバー五輪以来2度目の出場となった18年平昌五輪では団体追い抜きの金をはじめ、1500㍍で銀、1000㍍で銅と3色をコンプリート。北京五輪では個人種目での金メダルを含め、前回大会以上の成績が期待されている。
平昌五輪後も着実にステップアップし、国内外で実績を積み上げた。19年3月のW杯では、主戦場の1500㍍で世界記録を更新。20年世界選手権では平昌五輪金メダリストの小平奈緒(35、相沢病院)らを抑えてスプリント部門で優勝した。
コロナ禍で国際大会に出場できなかった昨季も全日本選手権(帯広)の500~5000㍍で5冠を達成。世界に誇るオールラウンダーの実力を見せつけてきた。
2季ぶりの参戦となった今季のW杯前半戦は、1500㍍で3戦3勝。1000㍍でも5年ぶりに優勝。世界記録を持つ団体追い抜きを含め、3冠の可能性も高まってきた。
男子も熱いぞ!メダル候補続々
初の五輪を狙う北海道関連の選手は多く、スピードスケート男子短距離勢はメダルを獲得できる可能性も高い。
中でも注目は、ともに別海町出身の新浜立也(25、高崎健康福祉大職、釧商高出)と森重航(専大3年、別海上風連中出)の2人。昨日まで行われていた北京五輪代表選考会を待たずして代表入りを決めていた。
男子500㍍日本記録保持者の新浜は今季W杯2勝。W杯初参戦だった森重も1勝。初めての大舞台で金メダル獲得も見えてきた。
ジャンプ女子 沙羅悲願の金へ飛躍
スキージャンプ女子では平昌五輪銅メダルの高梨沙羅が悲願の金メダル獲得を虎視眈々と狙っている。
理想のフォームを追い求めてきた4年間。平昌五輪後「世界を相手に戦うためには全てを変えなくてはならない」と助走、空中姿勢などを一から修正。完成形に近づくため、現在も試行錯誤を重ねている。
昨年11月に開幕した今季のW杯は個人第7戦を終えた時点で未勝利。マリタ・クラマー(ノルウェー)といった若手の台頭もあり、思い通りの結果は残せていない。
それでも「感覚は良い状態で保てている」と前を向く。「この4年間で自分のジャンプスタイルを見つめ直してきた。これまで準備してきたものを発揮したい」と意気込んでいる。
アイスホッケー スマイルJ鬼門突破しメダルへ
2014年ソチ五輪から3大会連続出陽となるアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」。日本勢でいち早く北京五輪出場を決め、12月26日に代表23人が発表された。
前回大会の平昌五輪から8人が入れ替わった。10代選手2人もメンバー入りし、平均年齢は25.9歳。長年代表を引っ張ってきた主将のFW大沢ちほ(29)や最年長のFW久保英恵(39)といったベテラン勢と若手の融合に注目だ。
ソチ、平昌五輪はいずれも予選敗退。今大会こそ〝鬼門〟を突破し、悲願のメダル獲得を目指す。