冬季スポーツ
2022/01/02 14:13

スピードスケート女子1500㍍2位 菜那「集大成」の舞台へ ラスト1枠滑り込んだ

北京五輪への切符をつかみ取ったレースの後、妹の高木美(右)と抱き合う高木菜(撮影・野沢俊介)

■スピードスケート北京五輪代表選考会 最終日 31日、長野・エムウェーブ

 最終日は男女4種目が行われた。女子1500メートルでは高木菜那(29、日本電産サンキョー―帯南商高)が1分54秒84で2位に入り、14年ソチ、二つの金メダルを獲得した18年平昌に続く3大会連続の五輪出場を決めた。女子5000メートルで2位に入った白樺高3年の堀川桃香は自身初の五輪切符を手にした。大会後には日本スケート連盟が北京五輪選手団を発表。道内関連選手は男子5人、女子7人が選出された。

 金メダリストが意地の滑りで、残り1枚の切符をつかみ取った。高木菜は最終組が滑り終えて代表入りが確実になると、同走の佐藤綾乃(25、ANA、釧北陽高出)や妹の美帆(26、日体大職、帯南商高出)と抱擁。苦楽を共にしてきた仲間たちと喜びを分かち合った。
 出場権を獲得できないまま迎えた最終日は「不安との戦い」。崖っぷちに追い込まれた状況だったが、攻めの姿勢を忘れなかった。すでに五輪出場を決めている佐藤に食らいつき、0秒16遅れで700メートルを通過。後半に入ってもラップを大きく落とさず、代表権を争った3位の小平奈緒(35、相沢病院)を0秒72上回った。
 レース後にはリンクを一周し、観客の声援に応えた。地元の幕別町から家族も応援に駆けつけていた。「日本でやる最後のレースを見てほしいと思っていた。良いレースを見せられて良かった」と安堵の表情を浮かべた。
 北京五輪では2連覇が懸かるマススタート、団体追い抜きを含めた計3種目に出場する。中でも1500メートルは、世界記録保持者の高木美、W杯優勝経験がある佐藤と3人での表彰台独占も視野に入ってきた。
 高木菜は「このタイムで滑れたので五輪でも表彰台を狙える位置にいる。あと1カ月、戦える準備をして五輪に臨んでいきたい」と意気込む。「集大成」と位置づける今シーズン。3度目の大舞台にスケート人生のすべてをぶつける。

女子5000㍍2位 堀川 高校生オリンピアン誕生

 大樹町出身の堀川桃香が代表入りを果たした。スピードスケートでは、ソチ五輪に高校3年で出場したウイリアムソン師円(26、日本電産サンキョー、浦河二中出)以来となる現役高校生オリンピアンの誕生だ。
 初日に行われた3000メートルで5位に終わり、悔し涙を流した堀川。この日の5000メートルでは、優勝した押切を上回るラップで序盤のレースを展開した。終盤こそ失速したが、日本ジュニア記録、高校記録を更新してゴール。代表権を手に入れた。
 実家は約200ヘクタールの土地で乳牛を飼育する酪農家。きょうだい5人全員がスピードスケート経験者で、五輪出場は一家の悲願だった。初の大舞台に向け、「平昌五輪を生で見て感動をいただいた。次は自分が人を感動させられるようなレースをしたい」と声を弾ませた。

女子1500㍍V 美帆 複数金獲る

 高木美が女子1500メートルを制し、今大会3冠を達成。5種目で代表入りした。国内外で今季負けなしの1500メートル、W杯1勝の1000メートル、団体追い抜きは金メダル候補。他2種目も表彰台を狙える位置にいる。「この上ないくらい出し切ったと言えるレースをすれば、必ず結果がついてくる。そう言えるくらいの4年間を過ごしてきた」と語気を強めた。

男子1500㍍V 一戸 メダル照準

 5000メートルを国内最高記録で制した一戸誠太郎(25、ANA、美幌北中出)が、1500メートルも制して2種目で五輪出場を決めた。平昌は5000メートル9位に終わったが、20年世界選手権で23年ぶりの表彰台に上がるなど日本を代表するオールラウンダーに成長した。「ベストパフォーマンスをすることが、選ばれなかった仲間たちへの恩返しになる。特に1500メートルはメダルを目指したい」と力を込めた。

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