≪逍遥5≫ もっとアグレッシブに
大記録の8月から大逆襲の9月へラストスパートだ
もっと攻めていく―。日本ハムの西川遥輝外野手(29)が、連載手記「逍遥(しょうよう)」で代名詞である盗塁や、母校の智弁和歌山高の甲子園優勝について語った。8月は通算300盗塁を決めるなど、西川にとってメモリアルな月となった。泣いても笑っても、シーズンは残り1カ月半。悔いの残らないように、最後まで攻め続ける。
これから400盗塁、500盗塁を!
8月27日の西武戦(メットライフ)で通算300盗塁を達成することができました。特別な心境はあまりないですけど、盗塁は減らない数字なので、これからも400、500盗塁と積み上げていけたら、と思っています。
はじめは走る勇気が重要だと思っていました。ガムシャラにではないですけど、全球走るつもりでやってきて、今はそこにいろんな経験が入っています。盗塁の仕方は人それぞれ違うので、(実戦で)走って経験を積んだことが大きいですね。
それでも、スタートを切りにくい時期もあって、2019年は19盗塁で終わってしまいました。コンディションも良くなかったですし、動き出しも遅かったです。イソ(五十幡)のスピードとかうらやましいです。あのスピードは欲しいですよ、みんな思っていると思います。
甲子園V母校の快進撃に負けん
甲子園は母校の智弁和歌山高が優勝しました。改めて、おめでとうございます。プロにも母校の後輩が増えてきていて、中谷監督と関わっている選手はあまり分からないですけど、いろんないい影響があるのだと思います。高嶋前監督の時はよく母校に行ってましたけど、最近は行かなくなっちゃって。理事長には「顔出せ」ってよく言われています。
後半戦再開直前には2対2のトレードがありました。ヌマ(平沼)からは連絡が来ました。いろいろ話をして、寂しそうにしてましたけど、どこへ行ってもやることは野球なので、変わらないです。
龍世(佐藤)は、ちょっとまだネコかぶってますね。周りを伺いながら。木村さんは、普通に積極的に話しているし、溶け込むのも早いと思います。泰示さん(大田)や、村田さんもそうですけど、今はもうファイターズも外様の選手は多いですし、日本人の中に一人、外国人がいるわけではないので、言葉が通じるから大丈夫ですよ。
後半戦が始まって、シーズンはあと1カ月半ほどです。今いる野手の中で一番給料をもらっていて、いろいろちゃんとやって手本を見せなければいけないのに、なかなか成績が出ないので、本当に責任を感じています。後輩も何を見てやれば良いか分からないような状態になっていると思います。
前半戦は、自分の仕事以外のことをしようとして、歯車がかみ合わなくなりました。例えば、僕や近藤がホームランを狙ったりすることです。本来、塁に出るべき人がいて、送る人がいて、返す人がいます。その人たちが自分の仕事ではないことまでしようとするから、自分の仕事まで、できなくなるという悪循環に陥っていました。
ただ、後ろを振り返っても仕方ないです。こういう成績になった以上、チームとして「こうやっていけば勝てるんだ」という道を、しっかり見つけなければいけないです。打つ方でも守備でも、もっとアグレッシブに、もっと攻めていかないといけないですね。(西川遥輝)
◆300盗塁達成! 闘志十分「まだやれる」
8月27日の西武戦で現役最多となる通算300盗塁を達成した。1死一、三塁という状況もあり、捕手が送球しない盗塁となった。「前回の200盗塁もやり直しの盗塁になったりだとか、そういうの僕らしいですね」と笑った。
また、王手をかけてから時間を要したことに「長いことチームに(記念)パネルを遠征に持ち歩いてもらっていたので、申し訳なかったです」と冗談めかした。
中田のトレード移籍という衝撃も走った。残った主力がチームを引っ張っていく必要がある。前半戦こそふがいない数字に終わったが、「まだまだやれる姿は見せないといけない」と気合は十分。最終盤の巻き返しへ、闘志はみなぎっている。