クラーク 初春センバツ出場決定 大志抱き まずは聖地初勝利だ
クラークナインよ、大志を抱け―。第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、阪神甲子園球場)の出場校32校が28日、発表され、昨秋の全道大会を制したクラークの初出場が決定した。春夏通じて甲子園初勝利と同時に、通信制校としても初の1勝を目指し、16年夏以来の聖地へ乗り込む。21世紀枠候補の札国際情報は選出されず、札幌支部の公立校で初めてのセンバツ出場はならなかった。
佐々木監督 3元号勝利目指す
厳しい寒さを吹き飛ばす吉報がクラークナインの下に届いた。白取太郎主将(2年)は「素直にうれしい。甲子園で一番明るいチームとして、1勝を必ず持ち帰ります」と初戦突破を宣言した。その模様は、ネットを通じて全国50カ所にある同校の学習拠点へ配信され、約1万人の生徒が喜びを分かち合った。
クラークが誇る最速140キロ超の左右ダブルエース。聖地のマウンドを待ち焦がれる。左腕・山中麟翔投手(2年)は「早くやりたい」。小学生の時、夏の甲子園を生観戦し、その迫力と興奮に魅了された。「その時は、自分がそこに立つことを想像もしていなかった。甲子園はみんなに注目される。気持ちの強さと制球力で打ち取っていきたい」と早くもイメージを膨らませた。
右の辻田旭輝投手(2年)は「誰もが憧れる夢の場所に立てる。うれしい気持ちでいっぱい」と興奮気味に語った。昨秋の神宮大会後、打者の内角を恐れずに突く投球に取り組んでおり、「前よりしっかりと狙って投げられている」。さらに今後は、実戦を想定した投球練習で本番に向けて調子を上げていく。
チームとして同じ過ちは犯さない。初出場した神宮大会では1回戦で九州国際大付に1―5と敗れた。「小さいミスが続いて、あっという間に終わってしまった」と白取主将。大舞台での緊張から多くのメンバーが実力を発揮できずに敗れた。
だが、今では「一人一人の気持ちの入り方が見て取れるぐらい」(白取主将)と練習への姿勢は、より一層激しく、厳しくなった。
2014年4月の創部からチームを率いるのが佐々木啓司監督(65)。かつて駒大岩見沢を指揮し、昭和、平成で甲子園勝利を遂げている。今回、初戦を突破すれば、史上初の「3元号聖地勝利」を達成する。チームとしても通信制校として初の甲子園勝利がかかる。辻田は「勝利というものが一番の恩返し。しっかりと意識してやっていきたい」。クラークの歴史に大きく輝く新たな1ページを刻む。(西川薫)
■三浦校長祝福 教え子たちを激励
冒険家の三浦雄一郎校長(89)は体調不良により欠席し、代わりに祝福のメッセージを寄せた。「センバツ甲子園初出場おめでとう! 普段の地道な練習を、北海道の頂点に立つという結果につなげ、最高の舞台への切符を手にした。選手たちを誇りに思います。クラーク魂とは、どんな時も夢を抱き、最後まで諦めずにチャレンジし続ける心です。全国からやってくる強豪チームにも強い心で挑み、甲子園初勝利・初優勝をつかんでください。心から応援しています」と教え子たちを激励した。
■クラーク高
1992年4月創立の通信制私立校。深川市に本校があり、学習拠点は全国に約50カ所。生徒数は約1万人。野球部創部は2014年。部員数は1年生15人、2年生13人の28人。2016年夏の甲子園に初出場。主な卒業生には2014年冬季ソチ五輪で銀メダルを獲得したスノーボードの竹内智香や女優・北川景子、元AKB・指原莉乃ら。深川市納内町3丁目2番40号。三浦雄一郎校長。