ジャンプ女子NH沙羅4位も「満足できる結果」
7日新種目の混合団体で個人戦の無念晴らす
3度目の五輪に臨んだジャンプ女子の高梨沙羅(25、クラレ)は98.5メートル、100メートルの合計224.1点で4位に終わり、2大会連続のメダルを逃した。悲願の金メダル奪取を目標に掲げて挑んだが、またも頂点に立つことはできなかった。伊藤有希(27、土屋ホーム)は94メートル、82メートルの176.7点で13位、勢藤優花(24、道ハイテクAC)は94.5メートル、83.5メートルの176.5点で14位だった。
平昌銅からジャンプ全て作り直した
追われるプレッシャーと戦い、ゼロから自分を見つめ直した高梨。試行錯誤の末に手に入れた最大限のジャンプを3度目の大舞台で披露した。
「このままではトップで戦えない」。そう思ったのは18年の平昌五輪で銅メダルを獲得した直後。W杯歴代最多61勝を誇る日本のエースが、今までにない危機感を感じたという。今季W杯総合首位で20歳のマリタ・クラマー(オーストリア)といった若手が次々に頭角を現す中、「世界を相手に戦うためには全てを変えなくてはならない」。スタート前の呼吸法から助走、空中姿勢、着地、一からジャンプをつくり上げた。
技術の向上だけではない。20年10月には弘前大大学院に入学し、スポーツ選手に必要な知識も身につけてきた。
4年前から研究生として社会医学講座に在籍し、主に医学の基礎知識を学習。柔道五輪金メダリストの野村忠宏さんや古賀稔彦さんといったアスリートも同講座に在籍していたが、現役選手では異例だ。
担当の中路重之特任教授(70)は「今まで40~50人が在籍しているが、彼女が最年少。あの若さで学びに来ようとする意欲がすごいし、好奇心旺盛。学びたい、うまくなりたいという気持ちが伝わってきた」と貪欲な姿勢に感銘を受けた。
すべては五輪で頂点に立つため。あらゆる手を尽くした4年間。しかし、またしても金メダルには届かなかった。それでも、7日には新種目の混合団体が控えている。個人戦の悔しさを胸に、同学年の小林陵らとともに初代王者を目指す。
(島山知房)
◆高梨の競技後談話 「この4年間でつくり上げてきた結果が4位。それは自分の中で受け入れられているし、満足できる結果。すごくいろんな感情がこみ上げてきている」(共同)
13位伊藤「今季で一番」14位瀬藤「準備の成果出た」
○…13位の伊藤と14位の勢藤は自らを誇った。伊藤は「自分としては今季で一番いい内容のジャンプができた。成績でお伝えすることはできなかったが、応援してくださった方に少しでも感謝の気持ちが伝わればすごくうれしい」。勢藤も「前回大会は五輪を楽しむことしか考えていなかったので、あまりジャンプ台に対応できなかった。今回はいろんな準備をしてきて、その成果が少し出てよかった」とコメントした。
(共同)