小山1回戦で途中棄権…イタリアでメダル獲る
■アルペン男子回転
【延慶(中国)16日=島山知房】アルペンスキーの男子回転で、日本勢唯一出場の小山陽平(23、ベネフィット・ワンク、双葉高出)が1回目の途中で旗門を両脚で通過できずに途中棄権。「片足旗門不通過」の反則で、2回目に進むことができなかった。
初の大舞台「攻められた、引きずる悔しさない」
初めての大舞台。思い出づくりの気持ちは微塵(みじん)もなかった。2本を滑りきることよりも「結果にこだわる」と、小山は攻めの姿勢を貫いた。
「目標とした結果ではなかったので、当然悔しい。ただ、守って(コース)アウトしたわけではなくて、攻められたと思っているので引きずる悔しさはない」。そう言い切った。
五輪独特の緊張感にのまれることなく、平常心でスタートを切った。しかし、レース中盤。急斜面突入前に加速しようとしたところで板が浮き、歯車が狂った。直後に右脚が旗門の内側を通過。そのままコースアウトし、初五輪が幕を閉じた。
石川県出身。レベルの高い環境に身を置くため、小樽市にある双葉高にスキー留学した。周囲が口を揃える「真面目」な性格の持ち主で、3年間指導したスキー部の玉川祐介監督(40)は「あれが取りえ。本当に素直で、それが強さの秘訣(ひけつ)」と絶賛する。
当時から五輪への青写真を描いており、卒業前には「北京は出ます。メダルを獲るなら、その次のイタリア」と口にしていた小山。昨年12月のW杯で日本勢5季ぶりの1桁順位となる8位に入り、自らの手で五輪の道を切り開いた。
悔いの残る結果に終わったが、まだ23歳。次回大会は日本のエースとして活躍が期待される。「4年後は間違いなく年齢的にはピーク。当然、メダルを狙っていかなければならない」。すべてを糧にする。力強く先を見据えていた。
母校・双葉高で後輩たち見守る
小山の母校・双葉高ではパブリックビューイングが行われ、道外遠征中のスキー部を除く1、2年生約180人が体育館で声援を送った。途中棄権となった瞬間、大きなため息に包まれたが、すぐに健闘をたたえる大きな拍手が響いた。小山の担任を3年間務めた長谷川諭・野球部監督(38)は「勉強も部活も全て頑張る子。人間的に素晴らしい。次の五輪へ再スタートを切ってくれれば」。同校男子で初のオリンピアンとなった教え子へエールを送った。