女子マススタート 菜那転倒…最終コーナーで悲劇再び
■スピードスケート マススタート
【北京(中国)19日=島山知房】スピードスケートのマススタートが行われた。女子は、平昌大会金メダルの高木菜那(29、日本電産サンキョー―帯南商高)が最終コーナーで転倒し、1回戦敗退。2連覇を逃した。決勝に進んだ佐藤綾乃(25、ANA、釧北陽高出)と男子の一戸誠太郎(26、同、美幌北中出)は8位入賞した。
団体追い抜きと同じ 連覇の夢逃す
“魔”の最終コーナーに再び連覇の夢を阻まれた。マススタート初代女王として臨んだが、まさかの1回戦敗退。高木菜は「レース展開をうまくつくれず、最後にああいう形になってしまった。自分の責任。どんな展開でもいけるような体力がないとダメだな」と悔しさをにじませた。
4、8、12周目でポイントを獲得できずにラスト1周に入った。決勝進出には上位でゴールする必要があったため、大外から一気に加速し、先頭へ。懸命に両腕を振って逃げ切ろうとしたが、最後の直線を迎える時には「左脚が言うことをきかなくなっていた」。通常のレースよりもリンクの内側を滑るこの種目。きついコーナーに耐えられる余力は残っていなかった。
コロナ禍で、国際大会はもちろん国内でも2シーズン、この種目に出場していなかった。実戦不足の影響は少なからずあった。中盤から後半にかけて、位置取りを迷う場面もあり「今までだったら直感で動いていけたけど、レースをしていない。難しいところは多かった」と振り返った。
自身3度目の五輪は出場3種目とも悔いの残る形で幕を閉じた。1500メートルでは同走者と接触して8位。団体追い抜きでは銀メダルを獲得したが、この日同様、最終コーナーで転倒し金メダルを逃した。
今後のスケート人生を問われ、「この後、世界選手権とファイナル(W杯最終戦)がある。いろんな思いがあるオランダで、最後、1500メートルを良い形で滑り終われればと思っている」。進退についての明言は避け、気丈に次なる目標を見据えた。
佐藤8位 最終16週目で不運の接触
不運に泣いた。最終16周目に入ったところで、上位集団が一気に加速。表彰台を射程圏に捉えていた佐藤だったが、並走する選手のスケート靴と接触し、大幅に減速してしまった。「“タラレバ”にはなるんですけど、3位争いに食い込めた」と唇をかんだ。
目標だった個人種目でのメダル獲得に届かなかった。悔しさは残った。ただ、それ以上に成長を実感する場にもなったという。1500メートルでは表彰台まであと0・1秒に迫った。「世界のトップで戦えるなんて思っていなかった。(4年後を)目指すのであれば、北京以上の結果を求めたい」と次なる抱負を口にした。
意地の滑り見せた 男子・一戸も8位
一戸は4周目1位通過で3ポイントを獲得。8位に滑り込んだ=写真。最後の直線でスピード負けし、メダル争いに食い込むことはできなかったが、中距離エースの意地を見せた。
大会前に右ふくらはぎを負傷していた。調整が遅れる中で五輪を迎え、5000メートル12位、1500メートル10位に終わっていた。右膝も痛め、マススタートは直前まで出場を迷ったが、2種目の悔しさを晴らそうと強行出場した。「けがの影響で最後の勝負は厳しいと考えていた。コンディションが整っていれば、最終スプリントで戦えたかもしれない。でも結果的には良かった」と振り返った。