ファイターズ
《岩本勉のガン流F論》 加藤は「7回投げきったことに価値」
大味な試合の中で先発・加藤が7回を投げきった。今後の戦いの中で大きな力になると感じた。
5月12日から勝ち星に恵まれなかった。開幕からローテーションを守り、序盤3連勝を挙げ、2桁勝利も十分に期待された。負けが込むと「鬼門」となる部分が必ず現れてくる。加藤の場合は投球回だろう。
開幕連勝していた時、登板試合での平均投球回は6・7回。ただ勝てなかった時期には同5・3回と明らかに降板が早かった。特に中盤五回前後にリズムを崩し、降板することが目立った。終盤に向かって投げ続ける技を、加藤が習得できていなかった。
勝ちきれる投手は先に点を奪われても早々に降板はしない。調子に左右されることなく、必の修正を施して試合をつくりあげる。加藤には継続する経験が少なく、まだ体が覚えていなかった。
大量援護は難しさも併せ持ち、特に初球や2球目の入り方などに苦労する。ソロ2発はそこをもろに食らったが、この日の加藤は緩急というより強弱を意識して勝負した。己の投球を後半にも継続でき、7回を投げきったことは価値がある。
左腕に寄せる信頼感は増した。大黒柱にもなり得るポテンシャルがある。一つの壁を乗り越えた、意味ある勝利だろう。(本紙評論家)