ツルさんありがとう 宮西 先発で貫禄の0封
■オープン戦 日本ハム4―1巨人(6日、札幌ドーム)
日本ハムは6日、前日に引き続き札幌ドームで巨人と対戦し、4―1で勝利。これでオープン戦は1分けを挟み、4連勝とした。オープナーを見据えた起用で1軍戦プロ初先発となる宮西尚生投手(36)が務めた。試合前には昨年限りで現役を引退した本紙評論家の鶴岡慎也氏(40)のセレモニーが行われ、登板の際には鶴岡氏の登場曲を使うなど、粋な計らいを見せたベテラン左腕。新庄剛志監督(50)のいかなる戦術にも応えていく姿勢を見せた。
鉄腕育てた恩人に好投届けた
入団時から中継ぎ一筋の鉄腕サウスポーが、初めて本拠地の真っさらなマウンドに立った。新庄ビッグボスたっての希望で、宮西が1イニング限定のオープナーとして先発。1死から四球を出したが、坂本を二ゴロ併殺打に打ち取り、ドヤ顔でベンチに引き揚げた。
2013年に調整の一環で投げた2軍戦以来の先発登板。「試合に入れば、八回の1―0よりかは全然緊張しなかった。慣れれば、できるなというのはあります」と頼もしくうなずいた。
入団から14年連続で50試合以上に登板し、プロ野球最多373ホールドを誇る中継ぎエース。「先発・宮西」がコールされると球場はどよめきに包まれたが、本人はいたって平常心だった。
春季キャンプ中に新庄監督から「先発あるよ」と伝えられ、雨で流れた2月23日の中日戦(名護)で先発予定だった。「チームが強くなるための作戦ならば、いつでもいけるよう、常に準備しておかないと駄目」と覚悟は決まっていた。
発案者の新庄監督は「肩、肘のことは分からないけど、シーズン中もこうやっていけたらすごく面白いなと思うけどね」とニヤリ。開幕投手についても「誰でも(可能性が)ある。今、考えている中で13人くらいいる」と含みをもたせた。
好投を届けたい人がいた。試合前には鶴岡氏の引退セレモニーが行われたが、先発の準備に入っていた宮西は参加できなかった。前日5日に電話を入れ「僕、先発なので見られないです。登場曲かけておきますね」と約束。「Gone,Gone,Gone」を流し、強い思いを胸にマウンドに上がった。
球界を代表するリリーフへ育ててくれた恩人だ。「本当に秀でたものがないピッチャーを受けてきて、結果を出させてくれた。ダルのコメントにもあったけど、ツルさんに育てられて、いま僕らはある」と言い切る。
悩んだ時はいつも親身になって寄り添い、打たれた時はストレスのはけ口になってくれた。「いい意味であんなに捕手のせいにできる捕手はいない」。宮西が「ツルさんが悪いんでしょ」と言えば、「ごめん」と謝ってくれる。そんなやりとりのおかげで、へこんだ時も前を向けた。
最後の勇姿をその目で見ることはできなかったが、マウンドで感謝の思いを表現した。先発・宮西の16球には、ツルさんへの思いがたっぷりと詰まっていた。
■試合前に鶴岡氏引退セレモニー
昨季限りで現役を退いた鶴岡氏の引退セレモニーが、試合前に行われた。田中SAとダルビッシュ(現パドレス)からビデオメッセージが寄せられ、締めは豪華布陣が集結した「ラストキャッチセレモニー」。投手・武田コーチ、一塁・稲葉GM、二塁・稲田コーチ、遊撃・金子コーチ、打席にはビッグボス自らが立つ中、捕手を務めた鶴岡氏は、一走・森本氏の盗塁をノーバウンド送球で見事に刺した。有終の美を飾り「先輩方に協力していただいて、本当にありがたい」と感謝した。